加湿器

加湿器の潤す空気の透明度

まるで浅瀬の淡い海水

海面はラブラドライトの輝面かな

ボトルメールが流れ着き

拙い字綺麗に並ぶラブレター

体育館裏部活の匂い

洗濯機回る制服青春の

残り香虚しく過ぎゆく季節

入社式での祝辞と礼儀

回すお茶渦を巻きては渋み濃く

抹茶スイーツは甘さ控えめ

珈琲の黒々とした色映える

黒点の持つ熱量フレア

魔法かな君のいる場所熱くなり

手と手が触れればそこは熱帯夜

扇風機冷風熱風掻き回し

そうして季節を巡らせてゆく

ストーブの重みは熱の温かさ

乾く空気と加湿器の水

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