第2話 11月

 翌月、今日は診察の日なのだが、寝坊して時間ぎりぎりに家を出たので急いでいた。その結果、柘榴が植えてあった場所を探すことを失念していた。


 病院に着いて受け付けで、


「今日は診察で」


と言うと、診察の予約は来月だと告げられた。何のために急いだのだろうか……、取り敢えず薬だけ受け取って帰宅するしかない。来月は余裕を持って出掛けようと思う。


帰りはウォーキングロードの休憩用のベンチで、先月も見た果物の移動販売のおじさんが商品を並べていた。客と思われる女性と何か会話をしていたが、そのまま脇を通りすぎた。売れるとか売れないとか話していたようだった。


その頃には柘榴の事はすっかり頭から抜け落ちていた。帰宅後に思い出し、その手前までは確認していただけにちょっと悔しい。恐らくそこから自宅寄りのところにあるのだろう。

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