第6話 物真似少女は告白される
詳しい内容を聞いた結果がこんな感じ。
岡本さんは冒険者になりたくて冒険者になったが親には反対されていてそれでも何とかしてEランク冒険者になった。
今では3人パーティとして冒険者をしていて今日、初めてEランクダンジョンに挑戦するのだが親が何かと言ってきて始めの一回は護衛を雇って様子を見ろと言ってきたらしい。
指名での護衛は無しで。
「まあ、護衛というか見守り?だね」
「そうですね……僕の両親は引退はしているのですが元Cランク冒険者なので余計に心配しているらしくそんな条件を出されました」
慣れは大事だからね。慣れすぎてダンジョンを舐めてかかるのもダメだけど。
そう思うとEランクとかDランクが1番油断しやすいのか。
それを乗り越えた先にあるのがCランク……岡本さんのご両親が心配するのもわかる気がする。
あれ?でも父さんはそんな心配されなかったな。
「とりあえず12時にダンジョン突入?場所はここから近い所?」
「あ、はい!地図を送ります!」
メールで地図が送られてくる……やっぱりこの場所か。
うーん、この場所はなぁ。まあ、これも経験ってことで黙っておくか。
「じゃあ準備してくるから現地集合で」
「分かりました!またダンジョンで!」
チラッと岡本さんが背負っている大剣を見てから私は冒険者組合を離れた。
そして少し準備をしてからダンジョンに到着した。
準備といってもガチガチの装備ではなくそのまま私服に剣とローブを装備しただけという手抜きなんだけどね。
ただし剣とローブは真面目なやつだからね。
ミスリルの剣とは比べ物にならないくらい良い性能の剣だよ。どんな剣かは知らない、だって固くて軽いよく切れる剣を作ってって言って作って貰ったやつだし。
名前もあった気がするけど忘れちゃった。無名剣(笑)
ローブだって弱い魔法は弾くし冷暖房完備で斬撃に強いという素晴らしいローブなんだよ。
これ装備するだけで暑い場所も寒い場所も平気の優れもの。ちなみにこのローブも無名。エアコンローブでいいや。
「あ、白百合さん!こっちです!」
約束の時間より早めに来たのに既に岡本さんがいた。そして岡本さんの隣に2人いるのがパーティ仲間なのだろう。
杖を持っている女の人に短剣と小盾を持った男の人。
「この人が護衛の人?随分と小さいわね、本当に大丈夫?」
小さくて悪かったね。なんか態度が大きい気がするけどEランクなりたてだし仕方ないか。強気なのはいい事だ、うん。
「すいません、白百合さん。僕のパーティメンバーです」
「なんか癖強そうだね。なんかもう1人の方、私見て固まってるけど大丈夫?」
「え?本当ですね。おーい!敏和、どうしましたか?」
男の人の方が私をずっと見て固まっているんだけど何か問題でもある?やっぱりこの人も小さいとか思っているんだろうか。
岡本さんが手を振ったりしているが反応がない。
「ハッ!白百合さん……一目惚れです。俺と付き合ってください!」
「え、無理」
やっと反応したと思ったらいきなり私の手を掴んできて告白してきやがった。
「え、何?敏和、この人の事一目惚れしたの?!ロリコン?」
「敏和ー!我に帰ってください!とんでもないこと口走ってます!」
おい、誰がロリだ。
「フラれた……」
そしてこの告白して来た男は私がフった瞬間に膝から崩れ落ちて項垂れている。
何この状況……?
・・・
・・
・
「こちら古川由紀美と山田敏和です。なんか色々とすみません」
「面白いパーティってことは分かったよ。私は白百合綾那、よろしく」
このままだと日が暮れてしまうので改めて話を進める。
「古川由紀美よ。異能は火炎生成」
「山田敏和、17歳!彼女はいません!異能は観察眼……よろしくお願いします!」
何とかこの告白男も持ち直したようで既に元気になっているようだ。
別に歳とか恋人の有無とか興味ないんだけど。
「そういえば僕の異能を言っていませんでしたね。僕の異能は重力操作です」
ほう、重力操作……!名前を聞く限りは強そうな異能じゃん。
それにしてもこの流れは私も異能を言わなきゃいけない感じ?あんまり人には言いたくないんだけど……
「とにかくここにいても変わらないのでダンジョンに入りましょうか。白百合さんは後ろで見守っててください」
私が自己紹介するまでに岡本さんがそう言ってくれた。言いたくない雰囲気が出ちゃってたかな。
「みんな、気を引き締めてください」
「ま、あたしにかかれば楽勝よ」
「白百合さんに良いところ見せるぞ」
ダンジョンに入ると3人が固まって動き始めた。
私はその少し後ろを見守るように眺める。
「前方、少し先に足音あり」
「りょ」
「了解だ」
岡本さんが警戒しながら先頭を進み、山田さんが古川さんを守るように行動している。
しかしやっぱり岡本さんの武器は大剣かぁ。今は大丈夫だと思うけどこの先がちょっと心配だな。
ちなみダンジョンはいくつも入り口があって入ってすぐに他の冒険者と会うことはほとんどない。
混んでいたらあるかもだけどEランクダンジョンとか沢山あるしそこまで混むことはない。
「ゴブリンの群れ発見、僕が最初に切り込むから援護頼みます」
「いつも通りで」
「おう」
ゴブリンの群れに向かってまずは岡本さんが突撃する。大剣を盾のように使いながら自らにヘイトを向けている。
「《ファイアボール》」
そこに古川さんが魔法を使ってゴブリンを焼き払う。
異能を使う時は別に言葉にしなくても発動するんだけど声で言った方がイメージを掴みやすいと声に出す人は多い。
「……そこだ!」
ゴブリンが炎にビビっているところに山田さんが短剣で攻撃をする。
手足や首あたりを狙っているね。倒すことよりは弱らせようとしてる感じ?
弱らせたところを岡本さんが一掃していった。
しっかり連携取れてるし普通にEランクダンジョンでも戦えてるじゃん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます