スライムな人生

昼間真昼

はじまり

気がつくと背の低い草が生えた草原にいた。

丸みを帯びた水のように澄んだ体、マナで溢れる豊かな世界。 

そう私は紛うことなき生まれたてのLv1のスライムであった。

今は足元の草に含まれるマナを草を取り込んで分解し、吸収している。

そう私はマナを食べるのである。

周りには何体かの仲間がいる。

遠くに何かがいる、あれは冒険者だ!

あぁきっと序盤のスライムとして果てるのだろう、そんな時だった、逃げればいいじゃないかと、しかし仲間は動こうともしない。

相手は剣を持った男だけ、今ならまだ隠れられる。そう思った時には森の方へ動き出していた。

隠れた時に見えたのは序盤のスライムとして果てた仲間の姿だった。マナがあたりに飛び散っていた。

それからしばらく森の中で植物を食べる生活を繰り返していた。気づけば体が少し大きくなっていた、透明だった体は薄く緑に染まり今までよりも速く動けるようになっていた。

これが力、と少し油断していると近くの地面に矢が刺さったではないか、彼らが来たに違いない。しかも前は剣を持った男だけだったが今度は弓を持った女が増えているではないか!ここであることに気がついた、あいつら遅い、そう私は手に入れていた抵抗する力を。そうこうしているうちに男が近づいてきた、そこに渾身の体当たり!男はそこそこな勢いで後ろに突き飛ばされ、驚いた様子の女は慌てていた。

そして私は勢い余って草原に飛び出してしまい人の集まっている所へ突っ込んでしまった。そこには大きな剣を背負った男、多くのマナを持った女、双剣を持った男、纏っている雰囲気が今まで見てきた奴らとは違っていた。

本当にやばい気配がする。今出せる全力を使って逃げ出した。

その時、なんか急に暑くなったなと振り向くと火球が目の前に迫っていた。詰み、今度こそ詰むのか、大事なことを忘れている気がする、あっ思い出した。

着弾した魔法は着弾場所を燃やし、周りを焦がした。

危なかった、間一髪で地面を溶かし地面の下に隠れることで危機をうまく回避できた。

そのまま地下を通って森まで逃げたきたが奴らは危ない、しばらくは森に篭ることにする。

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