寂寞を吐く

静かになった街の中。期限付きの醜悪をぶら下げて、わたし、ゆるやかに時間を降下していった。彼が、もっと僕の知らない、どこかの誰かに、依存し続ければいいと思う。きみが彼のことを好きじゃないことなんて、ずっと前からわかっていることを、僕は知っている。言われないと気づかない感情を、暴力みたいにぶつけて欲しかった。僕らはとても鈍感だ。

だから、だけど、 「思い出」を作るしかなかった。

「過去」を積み上げるしかなかった。

将来に縋るのはもうやめたんです。いつまでも、寄り添うものが必要なだけ。

僕らは、まだ、寂しがり。

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