第15話 ソフィーからの贈り物
中央広場に到着したら、避難民と負傷者で溢れかえっていた。
医者が薬を飲ませたりしているが、重症者は体の欠損も酷く
私もあの人のようになっていた可能性を考えるとゾッとする…
中央広場は人が密集していて本を読んでいられなさそうだったので少し外たところの階段に腰掛けて貸してもらった本を見ることにした。
タイトルが書いてない本なので中を確認したら、魔物の本ともう一つは魔法についての本だった。
ソフィーさんのメモみたいなものが一番最初のページに挟まっていた。
『天音さんへ、もしかしたら魔術についてはエルフでもありますし理解しているかもしれませんが、基礎であるはずの魔力制御ができて無く、魔力の体外への放出量が多かったためこの本をお渡しします。魔力の制御の習得は基礎ではありますが、先ずは魔力を感じるためにソラさんに触れることが一番近いと思います。』
ソフィーさん曰く、ソラは魔獣なので魔核によって魔力が制御されており、体の表面に魔力の膜が張られているらしい。その膜を感じ取れれば自分にそれを覆うような感覚ですれば制御の習得ができるらしい。
ソラに触れてみると、確かに何かがある感覚がする。サウナのムワッとした感じだけど熱すぎず暖かい感覚…これを自分の周りにまとわせる感覚で…目を閉じて魔力を表面に抑えるように集中する。
感覚はわかったけどこれはできてるのかな…少し暖かくなった気はするけど視認ができないからわからないけど、とりあえず他にも使えそうなのあるかな、と見ていたら基礎に魔力視認と魔力弾のページがあった。
魔力視認は目に魔力をまとわせる感覚で使えると…目に魔力を集中させると体からモワモワとしたものが出ているのがわかった。前は垂れ出てた感じなのかな?
魔力弾は手に魔力を集中させて球を作る感覚でそれを射出するスキルだそうだ。
これはどういう影響があるかわからないから安易に撃てないな…
魔獣の本を読む前に、ブランくんが渡してくれた防御シールドの魔道具にちょっと魔力を込めてみたらドーム状に魔力の壁が広がった。ちょっとかっこいい…
硬度とかは魔力量に関わってくるのかな?本気でヤバくなったら全力で魔力を注ごう…
魔物の本を読んでいくと、魔の森では、フォレストウルフ、フォレストベア、フォレストラビット、フォレストビー、フォレストスライムが主な討伐対象になるらしい。
場所ごとの魔物を書いてくれている本だったので、とりあえずは魔の森に関して覚えておいた。
これで自衛は問題ないとして、治癒の魔法とかはないのかな…初歩魔法の中に"ファストエイド"って魔法があった。
意味は素早く救援するってことかな?
詠唱は、"聖なる癒やしを彼の物に与えん"ね。
恥ずかしいけど、治癒魔法は使えるようになっておきたい…よし!
「聖なる癒やしを彼の物に与えん。ファストエイド!」
おぉ、少し気持ちいい感覚。多分傷とかがあればこれで治るのかな?
ファンタジーに馴染んできてる感じがして嬉しくなったが、それもすぐに収まった。
遠くの方から
その直後に、中央広場にいた避難民がパニックに陥った。反応から見るに討伐が完了した意味ではないのだろう。
我先にと言わんばかりに、警鐘と逆の方に逃げていく避難民たちを止めようと、避難民の誘導をしていた街の兵士が「そっちに行ってもダメだ! 中央が一番安全だから止まりなさい!」と大声で必死に語りかけるがパニックに陥った人たちは全く聞く耳を持たず押しのけて走っていった。
ほとんどの人が中央広場から消えてパニックになっていなかった避難民と重症者と医者と兵士が残った。
その後、警鐘が鳴った方向から血だらけのグレイさんが走ってきた。
「嬢ちゃん、すまねぇがソフィーを預かっててくれないか。」
「え、グレイさんはだ、だいじょうぶなんですか!?」
「あぁ、これは返り血がほとんどでかすり傷くらいにしかなってねぇ。だがソフィーは不意を突かれて重症だ。医者もいるなら預けてくれてもいいから一緒にいてやってくれ。」
と言ってグレイさんの背中から地面に下ろされたソフィーさんは、目も当てられない程に重症だった。
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