「あの、料理はまだですか?」
一 眠処
はじまり
「ねぇ、ぞっとする話、聞きたくない?」
注文を終えた直後に発した奈々美の言葉に、私はすぐに飛びついた。
それは、無類の怖いもの好きというのも、理由のひとつ、ではある。
ただ、丁度その頃。
私はホラー短編を書きたいと思っていて、ネタ探しに苦心していたのだ。
必死とも取れる私の様子に、気分を害された様子もなく、その友人は語り出した。
「私も友達に聞いた話なんだけどね。」
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