弟子は師に似る
デモットに魔術を教えてあげたり、可愛い可愛いサメちゃんをいっぱい甘やかしていたらメイドちゃんが嫉妬して甘えてきたりとありつつ翌日。
今日も今日とて俺達は魔界の空を飛びながら、街を見つけて蹂躙していく。
ドゴォォォォォォォン!!
天から巨大な岩が落ち、崩れゆくは悪魔の街。
空気が揺れ、大地が揺れる爆音が響き渡り、周囲にあるもの全てが吹き飛ぶ。
第七級土魔術“
帝国のダンジョンで暴れていた時によく使っていた魔術は、今も尚悪魔の街を滅ぼす手段として現役であった。
なんなら、昔よりも出番が多い。
やはり物量。圧倒的な質量によって全てを押しつぶすことこそ正義である。
「今日もいい天気ね。魔界は比較的過ごしやすい場所なのかしら」
「おい聞いたかデモット。空からバカでかい岩を降らせたやつが何か言ってるぞ。いい天気?悪魔からしたら、大災害だろ」
「ジークさん。それは言っちゃダメなやつです」
悪魔の街を雑に滅ぼしたエレノアは、快晴の空を見てそんなことを言う。
今日の天気は晴れ時々隕石ですってか。隕石に撃たれた場合は諦めましょう、なんて天気予報聞きたかないよ。
「しょうがないでしょう?これが一番楽だわ。黒鳥ちゃんに乗りながら街を滅ぼす方法なのよ。ジークだってやってるじゃない」
「俺はその後に“いい天気だ”なんて言わないよ。“お、レベル上がった”って言うぐらいだ」
「それもそれで悪魔からしたら最悪な一言ですけどね........」
作業ゲーとは徐々に効率化されていくものである。
最初は手探りで頑張り、やり方を覚えてその中で効率を求める。
気づけば、黒鳥ちゃんの上から隕石を降らせるだけの簡単なお仕事が狩りになってしまった。
これはこれで楽でいいんだけどね。魔術の研究とかできるし、移動中はデモットに魔術を教えてやれる。
デモットも俺達のやり方に慣れてきたのか、呆れた顔こそするものの普通に魔術の修行に励んでいた。
人に教えるという行為は自分の為にもなる。新たな発見は今の所ないが、こうして復習するのも悪くない。
そんなことを思いながら、チラリと地上を見るとクレーターだけが残った地面が見える。
破壊神エレノア。やはり、エレノアは破壊の神だな。
「レベルは上がったか?」
「流石にまだね。つい一昨日上がったばかりだわ」
「そう言えばそうだったな。もう少しでレベル300になりそうだし、早くあげたいよなぁ」
「そうね。こういうキリのいい数字を目の前にすると、少し焦ってしまうわ」
眉をひそめながらつぶやくエレノア。
凄い気持ちはわかるよ。ゲームとかでもあと一レベでスキルが獲得出来るとかになると、時間を忘れてレベル上げしようとするからな。
そして、苦労して獲得したスキルを早速使うまでがセットだ。
あとはレベルカンスト目前と言う時とかは、徹夜してゲームをやってしまう。
経験値のメーターが見えないのは、ある意味いい事なのかもしれない。俺の性格上、間違いなく丸1日レベリングしてしまうだろうから。
もちろん、エレノアも。
「悪魔にもレベルってあるんだよな」
「もちろんありますよ」
「デモットは何レベルなんだ?」
「俺は38ですね」
うーん、なんとも言えないな。
人間基準で言えばかなりレベルは高い方だ。しかし、悪魔の気樹を知らないからそのレベルが高いのか低いのかさっぱりである。
「って事は、アダマンタイト級冒険者と同じぐらいか。いや、ミスリル級冒険者ぐらいか?」
「ギリギリミスリル級冒険者って事ね。でも、実力だけで言えばアダマンタイト級冒険者レベルよ。やっぱり、レベルは同じでも種族によって強さは違うんでしょうね」
レベル1の人間と、レベル1のドラゴンが同じ強さかと問われれば、答えはNOだろう。
レベル1の頃の俺が、ドラゴンを倒せるとは到底思えない。
もちろん、レベル1の悪魔も。
レベルは同じでも、種族によってステータスが大きく違う。分かってはいたことだが、この世界は実に不平等だな。
いや、それとも必要経験値数が違うのか?
別に俺は研究者では無いので調べる気は無いが、少し気になる。
「お二人はレベルいくつなんですか?そう言えばきいてませんでしたし」
「俺?俺はレベル300を超えてるよ」
「私はまだ超えてないわね」
「........は?レベル300?聞いたことないですよそんなレベル」
一瞬何を言っているのか理解できなかったのか、ピシッと顔が固まるデモット。
本来なら自分たちのレベルを明かすことはあまり宜しくないのだが、デモットなら言っても問題ないだろう。
知らん間に弟子みたいになってるし、こいつはもう俺達を裏切る気がない。
魔術の楽しさに気づいちゃったからね。仕方がないね。
どこぞのぼっち精霊に合わせたら、滅茶苦茶仲良くなれそう。今度、顔を出すついでに連れて行ってあげようかな。
「........益々過去の自分を殴りたくなりますね。俺はなんでこの人たちに喧嘩を売ったんだ」
「そのお陰で今があるじゃないか。あの場で逃げていたら、ほかの案内人を見つけてデモットは殺していたかもしれんぞ?」
「そうね。運が良かったのよ。何気に初めてなんじゃないかしら?私達に攻撃まで仕掛けてきて生きているのは。人間を除いてね」
あのー、フハハ!!って笑う骸骨美少女がこっちを見てますよ。
「師匠がいるぞ」
「あれは例外よ。むしろ、あれはよく私達が生かされたと思うべきだわ。喧嘩を吹っ掛けて、捕まえられて、気づいたら弟子になる。中々体験できない人生ね」
確かに。あの人、やってること無茶苦茶だよなぁ。
人を攫って、勝手に弟子にして、挙句の果てには弟子の事が気に入りすぎて別れの時滅茶苦茶寂しそうで........
........あれ?もしかして俺たちってやってる事師匠と変わらないのでは?
少し道筋は違うが、大体やってる事同じかも。
悪魔をボコして、案内人にさせて、なんか仲良くなって気づいたら魔術を教える弟子になっている。
人って怖いな。“こんな人にはなりたくない”と思っていたら、気づかない内にその人間になっているんだから。
師匠の場合はエルダーリッチだけど。
エレノアも俺と同じ考えに至ったのか、若干顔が苦々しかった。
だよね。そんな顔になるよね。
「ごめんな、デモット」
「ごめんさないデモット」
「え?........え?急にどうしたんですか」
急に謝ってくる俺達に困惑するデモット。
でも、謝らなきゃダメなんだよ。俺は師匠を尊敬はしているが、師匠のようになろうとは思ってない。
あれは見習っちゃダメなタイプのダメ人間だ。いや、そもそも人間ですらないんだけど。
ここで謝らないと、人として大切なものを手放してしまう気がする。
急に謝られたデモットは、頭の上に?マークを浮かべながらもにっこりと笑って手を振る。
「えーと、よく分からないですけど、俺はこれで良かったと思ってますよ。ただ生きる毎日が、色々な事を学んで試す楽しい日々に変わりましたから」
「デモット........お前、マジで良い奴だな。最初にチンピラ悪魔とか思って悪かった」
「情報を聞き出したら殺そうとか思って悪かったわ。本当に反省してます........」
「え?えぇ........と、とりあえず元気だしてください。と言うか、なんでそんなに凹んでるんですか」
「あんな風にはなりなくないなーと思ってたら、いつの間にかなってた。師匠に似ちまった」
「やってることが師匠と同じで、デモットの気持ちが分かったのよ........本当にごめんなさい」
尚、その時デモットは引き攣っていた顔をしていた。後に聞いた話だが、あの時デモットは“マジで怖いこの人たち”と思っていたらしい。
なんでも、“敵と味方の区別がはっきりしすぎている”んだとか。
もちろん、この時の俺達がデモットの内面を知る由もない。
後書き。
全部骸骨美女のお師匠様が悪いんだ‼︎そう言うことにしておこう。
サメちゃん可愛いやったー回。みんなノリが良くて好きです。ちなみに、サメちゃんはIKEAのぬいぐるみ(130センチ)みたいな感じ。抱き枕にして寝ると丁度いいよ(私はしてる)。
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