悪魔の街
プテラノドンの様な見た目をした魔物、プテルドンの頭をパァン!!したエレノア。
相変わらず馬鹿げた一撃であり、破滅級魔物程度なら吹っ飛ばせてしまうのはぶっ飛んでるな。
頭が消えてしまったプテルドン達は悪魔くんによって回収され、どうせならこのまま昼食にしようということになった。
もちろん、料理を作るのは俺の役目である。
エレノアの喜ぶ姿が見たいからね。しょうがないね。
「ん、とても美味しいわよ。やっぱりジークの作ってくれる料理は最高ね。私の好みに会っているわ」
「そりゃよかった。久々に料理をしたから、腕が落ちているか心配だったよ」
「身につけた技術がそう簡単に衰えることは無いわよ。最高に美味しいわ」
料理にはちょっとうるさいエレノアだが、俺の作ったプテルドンのタレ焼きを心の底から幸せそうに食べてくれる。
ここまで美味しそうに食べてくれたら、作った側としても嬉しい限りだよな。見ている側も気分がいい。
初めての魔物という事で解体に少し手間どったが、解体のやり方を知っていたデモットが居てくれたのも有難いな。
おかげで肉を無駄にせずに済んだ。
「うっま........滅茶苦茶美味いですよジークさん。俺が自分で作るよりも断然美味しいです」
「そりゃ良かった。エレノアの好みに合わせて作ってるから、少し味が濃いけど口に合って良かったよ........悪魔ってどんな飯を食べるんだ?」
「基本的に狩ってきた魔物や動物なんかを解体して、焼いて食べるだけですよ。塩を振り掛けるぐらいはしますが、あまりこのような料理はしません。悪魔達にとって食事は生命活動の維持と言うだけであって、別に娯楽ではないんですよ。でも、こんなに美味しいものを食べるとそうも言ってられませんがね」
へぇ、悪魔は食事を楽しむような種族では無いのか。
それとも、大半の悪魔達は食事を楽しむ余裕もないのか。
貧困層で生活するような人達は、その日その日を生きるのに精一杯でご飯を楽しむと言う概念がない。
食事はあくまでも生命維持のためであり、娯楽として考えていないのだ。
悪魔達の生活もかなり過酷と聞くし、もしかしたら楽しむ余裕がないだけかもしれんな。
だって食べ物のほとんどを爵位の持つ悪魔に献上しなければならないと言っていたし、食べ物をめぐって殺し合いすらも起きるらしいし。
修羅の世界魔界。恐ろしいところだぜ。
「デモットはどんな食事をしているんだ?」
「どんな食事と言われましても、その日によって違いますよ。狩りが上手く行けば肉が食べれますし、何も得られなければ適当に取ってきた木の実を食べるだけで終わります。でも、自分が取ったものは全て自分のものなので、知識と最低限の力さえあれば街で生きるよりも食料は手に入りますね」
「料理はしないのか?」
「そういう文化がないんですって。悪魔の娯楽と言えば、酒を飲むか殺し合いを眺めるぐらいですよ。伯爵級悪魔ほどまで大きな悪魔が収める街ともなれば、悪魔同士の殺し合いを眺められる娯楽施設があったりします。裕福な悪魔達が酒を片手に血が流れる様を見るのです」
悪趣味だな。さすがは悪魔だぜ。
とは思ったものの、闘技場での殺し合いとかを見世物にする人間の国もあったな。
それがメインの娯楽なのか、それとも他の娯楽があるのかでだいぶ変わってきそうである。
俺はあまり好きでは無いな。話を聞いているエレノアもあまりいい顔はしていない。
と言うか、料理をする文化はないのに酒を作って飲む文化はあるのか。多分、酒のためだけに作られた農場とかあるんだろうな。そこで普通に食べ物を生産しろよ。
「お酒は自分たちで作るのかしら?」
「はい。酒の為に作られた農園や施設が存在しています。領主も酒だけは飲みたいので、そこで働く悪魔達はかなり優遇されていますね。一般悪魔たちの中ではその仕事につければ将来安泰とまで言われるほどに重要な仕事ですよ」
「その農園を食料の為のはたけにすれば、もう少し生活が楽になるでしょうに」
「それは俺も思いますが、残念な事にほとんどの街では酒を作るためだけの施設となっていますよ。俺も酒は好きでしたが、それよりももっと先にやる事があるだろとは思いましたね」
でしょうね。酒を作る暇があるなら、まずは食糧改革から始めようよ。
俺はそう思いながら、プテルドンのタレ焼きにかぶりつくのであった。
ん、自分で作っておいてなんだが、美味いな。恐竜も中々いけるじゃないか。
【プテルドン】
プテラノドンのような見た目をした魔物。常に五体以上の群れで行動し、集団で狩りをする。強さは最上級魔物程度。空を飛ぶことができ、また、風を操ることで物を切ったり押し潰したりもできる。
人間の大陸には一度もやってきた過去が無く、冒険者ギルドにも何一つ情報が乗っていない未知の魔物でもある。
昼食を終えた俺達は、その後もデモットに色々と教わりながら悪魔の大陸を歩き続けた。
寄り道をしていることが多く、悪魔の街に行くまでにかなりの時間を要したが、それだけの価値がある情報を仕入れることが出来ただろう。
長年独り身で生きてきただけあって、デモットは本当になんでも知っていた。
魔界のウィキペディアだな。困ったら“OK、デモット”って聞けばなんでも教えてくれそう。
そして、ほぼ丸1日歩き続け日が暮れ始めた頃。遂に魔界に来て初めての街を俺達は目にする。
「あれが悪魔の街か。なんと言うか、人間の言う街に比べてかなりみすぼらしいな。家は立ち並んでいるしそれなりにしっかりとした作りにはなっているけど城壁がないからなのか、とても弱そうに見えるぞ」
「あー、何かが足りないとは思ったけど、城壁が足りないのね。だから弱そうに見えたんだわ」
「悪魔は戦いこそが命みたいな考えを持っていますから、自分達を守る盾を用意しない傾向にあるんですよ。強いやつは生き残るし弱いやつは死ね。それが悪魔としての考えなんです」
「とことん弱肉強食の世界だな。弱いやつは生きる権利もないのか?」
「無いですね。戦えない悪魔なんかは、魔物が襲撃してきた際に一番最初に“死ね”と言われるぐらいですから。例外は、酒を作れる悪魔たちぐらいです」
そりゃ、みんな酒を作る仕事に就きたいわな。特に、自分の力が弱い悪魔は。
そうやって強いやつだけが生き残れる世界の中で生きていたら、いやでも強くなっていくもの。
悪魔が自分の強さに誇りを持つわけだ。
ま、俺には関係の無い話なんだけどね。さっさと経験値を置いていけ。そのための実験台となってもらうぞ。
「この街を収める悪魔の爵位は?」
「確か準男爵級悪魔です。お二人ならば苦戦することは無いかと思いますよ」
「よし。それじゃ一丁やってみるとしますか。この大陸の王が下々の危機に駆けつけるのかどうか。確認してやばそうなら速攻で逃げるぞ」
「悪魔君を呼び出すのね?数で攻める?それとも、一撃で終わらせる?」
「数で攻めてみよう。俺の魔術で作った存在にも反応するのか、魔術によって作られた存在による複数攻撃がタイマンとして見なされるのかとか色々と検証しながらやってみるとしよう」
過去に師匠がこの大陸で暴れ散らかしたという情報と、魔物が襲ってきても特に王は反応しなかったという情報から、おそらくは街を襲撃しても問題ないと思っている。
が、推測で動き続けるのは危ないし、下手をすれば自らの死を招く。
予想なのだが、多分爵位を持つ悪魔に対してタイマンで挑みさえすれば王は動かないんじゃないかな?ずっと警戒を続けているが、未だに監視の目がある感じもしないし。
「行くぞ悪魔共。どっちが悪魔の名に相応しいか勝負しようぜ」
悪魔君(魔術)ど悪魔(本物)どちらが真の悪魔の名に相応しいか、勝負だ。
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