魔界の魔物は面白い
悪魔の街を襲ってみようと言う話になった俺達は、デモットに悪魔の街の場所がどこにあるのかを聞くことにした。
悪魔は人間のように仲間意識がそこまで強い訳では無いらしく、自分以外は基本どうなろうが知ったこっちゃないという感覚らしい。
もちろん、大切な人がいる場合はその限りでは無いが、独り身のデモットには全く関係の無い話である。
「この植物はなんだ?」
「ポズン草と呼ばれる植物ですね。濃縮すると、悪魔すら殺す毒になります。薬草になるエリク草と形が似ているので、間違えて取ってきて死亡する事故も出ると聞きましたよ」
「........悪魔も薬草は使うんだな」
「もちろん使いますよ。ジークさんやエレノアさんは悪魔をなんだと思っているんですか?食べなきゃ死ぬし、怪我をしても死ぬ。多分人間とそんな変わらないですよ悪魔は。姿形が違い、お互いに殺しあっていた仲だったと言うだけで」
「悪魔も人もそう変わらないのね。でも、人間の敵である以上は殺すわよ。私達からすれば、言葉を話す魔物と言うだけだしね」
悪魔の住む街へと案内されている途中。俺とエレノアは意外となんでも知っているデモットに色々と質問をしていた。
悪魔のことは何となく理解したが、この大陸の事はほとんど知らない。
冒険者として長年生きてきて様々な知識を蓄えてきた俺達だが、この大陸ではその知識が全く役に立たないのだ。
見たこともな薬草や木々、その他にも多くの未知がある。
悪魔でレベリングすることも大事だが、それ以上にこの大陸のことをよく知っておくことも大事なのだ。
知識があると無いのでは全く違う。
知識があれば助かる場面も多く、特に魔物の情報なんかは常に仕入れていたからな。
まだ旅を初めて直ぐの頃だったら、間違いなく悪魔を殺しに即座に街へと向かったが色々な経験を経て成長した俺達は身の回りの安全と必要な知識の入手から始めるようになっている。
昔の俺が今の自分を見たら驚く事だろう。こんなにも慎重に物事を進められる人間だったのかと。
「デモット、意外となんでも知ってるんだな。初めて捕まえた悪魔がお前で良かったよ」
「ありがとうございます?まぁ、俺は独り身で生きてきた人なんで、色々なことを知っていないと死ぬんですよ。この魔物はやばい、この木の実は食える。そういう事をしっかりと知っておかなければ、明日の朝には骸となっていますから」
「魔物も強いもんな。なんか背中に翼が生えたでっかい二足歩行の魔物に出会ったけど、あれも強かったな。瞬殺したけど」
「あの魔物はなんという名前なのかしら?」
「背中に小さな翼が生えていて、どこからどう見てもそれ飛べないやろみたいな魔物ですかね?ティラフライという魔物ですよ。獰猛で攻撃的。強靭な牙に噛まれれば、必ず死すると言われている凶悪な魔物です........え、倒したんですか?出会った、逃げる以外選択肢がないような魔物なんですけど」
倒しましたね。第九級魔術を二つ同時発動してドカーン!!って地理も残さずに消しちゃったね。
もう1回出てきてくれないかなぁ。エレノアがお肉を食べたがってたから、頭だけ潰してお肉を回収したいんだけど。
久々に俺の手料理が食べたいと我儘を行ってきたんだから、それに応えてやるのが相棒の務め。
俺も最近料理をしてなくて腕が落ちてそうなので、普通に料理がしたいんだけどな。
そして魔物の名前よ。ティラノザウルスに名前が似てんな。ティラノサウルス飛ぶ(フライ)ってか?この名前をつけたヤツ、もしかして異世界転生者だったりする?
「悪魔の中でも恐れられてるのか?」
「クソ強くて凶悪な癖して、かなりの数が存在していて普通に出会うので悪魔からは物凄く嫌われてますね。最低でも男爵級悪魔並の強さがないと勝てないので、準男爵級悪魔が治める街では死神も同然です」
「って事は、男爵級悪魔が破滅級魔物ぐらいの強さってことか。絶望級魔物よりも上の存在が無いから子爵級悪魔以上の分類がないのが悲しいな」
「魔物で強さを例えれないわね。土産話の時に少し困るわ」
そんなとこを話しながら、歩いていると、空から気配を感じる。
ふと上を見れば、そこにはプテラノドンのような見た目をした魔物達がこちらをじっと見て今にも襲いかかろうとしていた。
何?この悪魔の大陸に出てくる魔物は全部恐竜から進化してんのか?やっぱり隕石に撃たれて絶滅した恐竜は、この世界に転生させられたのか。
「なぁ、デモット。あの魔物はなんて名前なんだ?」
「プテルドンです。常に群れで行動し、その凶悪なクチバシで相手を貫き殺す魔物ですね。後、風の権能を使います」
「........?魔物も権能を使うのか?」
「あ、風の力を使うと言うだけで、別に悪魔と同じく権能を使うわけじゃないですよ。アレです、ほら、例えとして出しただけであって........」
正確な情報を伝えなかった為に殺されるとでも思ったのか、アタフタとするデモット。
最初の威勢はどこへやら。今や俺達の動き全てが攻撃に見えていそうだ。
「分かった分かった。要はワイバーンが口から炎を吐く様を魔術に例えるのと同じ感じだな。別に例えで言ったからって殺しはしないから焦るな。俺達を一体なんだと思ってんだ?」
「悪魔を殺し回ると言っている人が隣にいたら、そりゃそうもなるわよ。それで、どちらがやるのかしら?」
「エレノアがやっていいよ。あ、デモット、アイツって食えるのか?」
「い、一応は。ほぼ骨と皮だけですが、胴体部分に肉があります。襲われて何とか倒してもほぼ食料にならないので、俺はハズレとして扱ってますね」
「そう。なら、頭だけ潰して胴体部分は綺麗に残すとしましょう」
あの骨格が見えている羽の中に肉が詰まっているようには見えんわな。
エレノアは影の中から精霊樹で作られたトンファーを取り出すと、くるくると回しながら俺達を獲物としてみているプテルドンを見上げる。
強さは大体最上級と破滅級の間ってところぐらいか?最上級魔物上位あたりの強さだな。
「ふふっ、久々の空中戦ね。燃やした方が早いのだけれど、今日は殴りたい気分なのよ。大人しく弾け飛びなさい」
「クエェェェェェ!!」
ダン!!と、地面がえぐれる勢いで空へと飛び立ったエレノアは、魔術を使って自分の体を制御しながらプテルドンの上を取る。
基本的に空中戦は普段から空を飛ぶ者の方が強いが、エレノアは魔術によって空の自由も獲得している。
翼なき翼を持っているのだ。たかが空を飛べるだけの鳥に、負けるはずも無い。
パァン!!
と、いつもの打撃音が響き渡ると同時に、プテルドンの頭が弾け飛ぶ。
「........は?........はぁ?!」
「エレノアには逆らわない方がいいぞ。あんな風に死にたくなければな」
まさか一撃で頭が吹っ飛ぶとは思ってなかったのか、デモットは100点満点の反応を見せてくれた。
「アハハハハ!!まだまだ行くわよ!!」
テンションが上がったエレノアは、続けざまに仲間の頭が消えて固まるプテルドンの頭を吹っ飛ばす。
パァン!!パァン!!パァン!!
空の上で舞う死神の一撃は、必中にして確殺。
パンパンと小気味いい音楽を奏でながら、エレノアは次から次へと鳥を撃ち落とす。
「悪魔くん。回収よろしく」
「........(ラジャー!!)」
俺は撃ち落とされた鳥の回収を悪魔くんに任せると、楽しそうに魔物を蹂躙するエレノアを見て微笑ましく思うのであった。
そして、隣で見ていたデモットは“エレノア姐さんと呼んだ方がいいかも”とポツリと呟いていた。
どっちでもいいよ。エレノアはそんなこと気にしないし。
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