魔界へ
悪魔を倒しレベルを上げた俺は、エレノアと共に大きな魔力の反応がある場所へと向かう。
悪魔が海を渡ってやってきたのであれば、こんな急に気配がしない現れるわけが無い。悪魔が転移魔術のようなものを使ったのか、それとも何らかの存在に呼び出されたのか。
原因は分からないが、その場社に行けば全てが明らかになるだろう。
そして、実際に大体の理由は分かった。
「なるほど。転移系魔術と同じような魔法陣に次元の裂け目。悪魔はここを通って来たみたいだな」
「確か、儀式魔術だったかしら?自分一人では発動できない魔術を、周囲の力を借りて発動させる魔術。今回の場合は、何を使ったのかしら?」
「んー、多分、星々の位置とかを使ったんじゃないかな?アン婆(父方の祖母)に似たような魔術を教えてもらった気がする。となると、時間経過でこの裂け目は消え去るな」
木々が生い茂る森の中で、俺とエレノアは空間に亀裂が入った場所を見つける。
膨大な魔力を感じたのはここか。徐々に魔力が消え始めているから、あと15分もすればこの裂け目は完全に消えてなくなってしまうだろう。
「これ、大まかな座標指定が入っているのか?なんか、見たことの無い魔法陣まで組み込まれてるな。ちゃんと覚えておけば、新たな魔術を作れるかも」
「空間系魔術はとにかく情報が少なくて魔術一つ作ることも苦労するものね。いいものを発見したわ。悪魔が出てくるという事を除けば」
「少し改良出来れば、転移門なんかも作れるかもな。門をくぐれば別の場所に行ける様な魔術........ところで、この次元の裂け目には俺達も入れるよな?もしかして、悪魔達が来た場所に行けたりする?」
「魔法陣を見る限りは、行けるでしょうね。どうする?行ってみましょうか?」
次の目的地は決まってなかったし、悪魔達が住むであろう大陸“魔界”に行くのもありだ。
転移した先が魔界とは限らないが、かなり可能性は高いと思うし。
「悪魔って経験値多いよな?俺、まだレベルが上がる時期じゃなかったのにレベルが上がったぞ?」
「奇遇ね。私もよ。悪魔を倒した時にレベルが上がったわ。もしかしなくとも、悪魔の経験値は多いでしょうね。強さが経験値の全てでは無いという証明にもなるのかしら」
「かもしれないな。あれ、もしかして悪魔って滅茶苦茶経験値効率がいいのでは?」
「悪魔達も可哀想ね。こんなレベル上げ狂人に目をつけられて。魔界で大人しくしておけば、もう少しは平穏な時間を過ごせたかもしれないというのに」
エレノアはそう言うと、呆れたように俺を見る。
現在、俺のレベルは293レベル。もうすぐレベル300が見えており、ちょっと早くあげたいなーと思っていたところである。
絶望級魔物ぐらいの強さはあった悪魔だが、堕落した精霊たちよりも経験値が多かった悪魔を片っ端から殲滅しまくればあっという間にレベルが上がりそうだな。
魔界がどのような場所なのかは知らないが、もし悪魔のくにができているのだったら宣戦布告したっていい。
こちらには、先に攻め込まれた大義名分がある。
例え人と変わらない暮らしをしていようが、俺は狩るぞ。悪魔は人間じゃないから、俺のルールからすれば魔物と一緒だからな。
冒険者ギルドも悪魔は魔物と同じく扱いがされているし。
中には気が合う奴らもいるだろう。師匠や幽霊達、不死鳥家族のように魔物でありながら俺と仲良く話すやつはいる。
そんな面白い悪魔と出会った時だけは、経験値ではなく友人として接するかな。
「エレノア、今のレベルは?」
「286よ。最近は狩りに行けてなかったから、放置狩りしていたジークと少し差が生まれているわね」
「今ならエレノアも放置狩りはできるだろうに」
「数が違いすぎるのよ。何倍の魔力差があると思っているのかしら?」
「ははは。それもそうか。だが安心しろよ。今から狩りの始まりだぜ?」
俺がニッと笑ってそう言うと、エレノアは少し楽しそうに声を上げる。
なんやかんや、エレノアも旅は好きだからな。
「あら、という事は、この次元の裂け目の中に入るのね。安全性は?」
「見た感じまだ大丈夫。後五分もしたらだいぶ不安定になるだろうけどね。星々の形まで魔術の糧にしているから、時間経過で不安定になるのがこの魔術の欠点だな」
「儀式魔術なんてそんなものよ。さて、二つの裂け目があるけどどちらに入るのかしら?」
「どっちでもいいね。とりあえずは魔界に行ければ。んー、じゃ、右側の方に入ろうか」
「分かったわ」
こうして、俺とエレノアは悪魔達が住む大陸“魔界”に乗り込みに行くのであった。
あ、一応冒険者ギルド本部に報告に行った方がいいのか。悪魔と言えば、かつて人類と殺しあった宿敵みたいな感じだし。
“悪魔出たよ。今からカチコミ行ってくるよ”ぐらいは言っておいた方がいいかも。
魔界に着いた、一旦転移で帰ってくるか。師匠とかにも魔界に行く旨は伝えておいた方がいいだろうしね。
【
ノアが偶然見つけた本。その中には色々なことが書かれているが、誰も読むことはできない。本の使用者は、本に飲まれ理性を失い、いずれ世界を破壊するとされている。ノアが理性を保っているのは不死者だから。
本はその者の持つ力を最大限まで引き上げる。
著者は不明。なんのために作られた本なのかも不明である。
世界各地で出現した悪魔達が、オリハルコン級冒険者やそれに準ずる強さを持つ者によって討伐された頃。
冒険者ギルド本部のグランドマスターは、武神マリーに叩き起されていた。
「起こされた時は下らん事だったら殺すとまで思っていたが、今となっては知りたくない現実だな。お前ほどの男が血を流すとは........」
「男じゃないわよん。心は女よん。寝ぼけているならその頭をかち割って目覚めさせてあげようかしらん?」
マリーに叩き起されたグランドマスター。
何事かと事情を聞いてみれば、それは耳を疑いたくなる内容であった。
悪魔の襲来。
かつて人類の住む大陸に出現し、多くの国々を滅ぼし、数多くの犠牲を払ってようやく討伐した悪魔が再びこの大陸に現れたのである。
マリーの手によって今回は無事に事なきを得たが、冒険者ギルドとしては何らかの対策及び、他の場所に悪魔が存在していないかを探す必要がある。
悪魔の中には人に憑依できる者も存在する為、上手く人間社会に紛れ込まれると探し出すのが難しい。
それでも、探し出さなければならない。過去に悪魔の被害にあった国がどのような結末を辿ったのかを知っているから。
「........取り敢えず、オリハルコン級冒険者を全員呼び戻す。それと、大国の王達とも連絡を取るぞ。これは人類と悪魔の戦争になりかねない一大事だ」
「私もその方がいいと思うわん。悪魔達は相当強いわよん。私も本気でやって何とか勝てたぐらいだわん」
「その膨れ上がった姿を見るのは久々だな。ましてや、血を流していたとは。いつぶりだ?」
「吸血鬼の軍と戦った時かしらねん?あれは凄まじかったわん」
「あぁ、もう二十年近くも前の時か。あのころはまだ見てられるぐらいの見た目だったんだがな........人の成長とは残酷だな」
「ぶっ飛ばすわよん?それに、その時は貴方まだグランドマスターではなかったでしょう?」
「まだ見習いのペーペーだったな。それがいつの間にかお前に頭を悩まされる側に回るんだから、人生何があるか分かったもんじゃない」
グランドマスターはそう言うと、静かにコップに入った水を飲む。
翌日。全冒険者ギルドにオリハルコン級冒険者達を冒険者ギルド本部に呼び戻すように通達が入る。
それを意味することは、人類の危機。
悪魔と人類の戦争が始まる可能性を示唆していた。
........既に、魔界に乗り込んで暴れようとしている大問題児二人がいるとは知らずに。
後書き。
人類大陸編完。魔界編スタート。いつも沢山のコメントありがとうございます。全部読んでるよ。
と言うわけで、強キャラ達の見せ場回でした。わずか3行足らずで亡くなった甘美君。ありがとう。君のおかげで、師匠がやべー事がよく分かったから。
お次は魔界編が始まります。師匠の過去がわかるかも?
それと、別件ですが新作を出します。「異世界魔王、勇者として召喚されたので異世界を謳歌してみたい(勇者の仕事も一応やる)」
がこの後すぐに投稿されるはずです。二人旅系のお話なので、もしよかったら読んでね‼︎
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