エレノアvsリエリー
グランドマスターに“勝負をするならダンジョンを使え”と言われたので、俺達は街を出て1番近いダンジョンにやってきていた。
このダンジョンは小さくもそれなりの資源が取れるということで、冒険者ギルドが管理している初心者からベテランまで御用達のダンジョンである。
最弱と名高いゴブリンやスライムから、食える豚肉ことオーク。更には食える鶏肉であるハイバードまでいるとなれば、利用価値は高い。
間違ってこのダンジョンをぶっ壊した日には、グランドマスターが茹でダコになってブチギレるだろう。
下手をしたら冒険者ギルドから除名された挙句、指名手配を喰らうかもしれんぐらいには。
「ここなら問題無さそうだな。さぁ、さっさと始めるとするか!!」
「どこまで本気を出そうかしら?第九級魔術を使ったら流石に死んじゃうわよね?」
既にやる気満々なリエリーと、どこまで魔術を使ってもいいのかを考えるエレノア。
エレノア、間違っても第九級魔術を初手から使うなよ?オリハルコン級冒険者を間違って殺しちゃいましたとか、笑えないから。
流石にエレノアもそこら辺は理解しているとは思うが、テンションが上がりすぎると強力な魔術をブッパなす癖があるエレノアの事だ。
ヤバそうなら止めに入らないといけないかもしれない。
「どちらが勝つと思う?」
「そりゃエレノアちゃんでしょうね。リエリーちゃんは魔術に関しては天才的だけど、総合的に見ればエレノアちゃんの方が圧倒的よ。それに、魔術に関してもエレノアちゃんの方が上に思えるわ」
「あの魔術バカよりも魔術に優れているとか、もう滅茶苦茶だな。冒険者ギルドの中で1番強いんじゃないか?」
「可能性はあるわね。ジークちゃんはどう思う?」
この戦いをどう見るのか、どちらが勝つのかを予想するグランドマスターとマリー。
リエリーは確かに魔力量も多くその実力を見ずとも魔術優れているのは分かるが、師匠程では無い。
師匠ほど熟練した魔術師は早々いないと言うのがよくわかるな。現役だった時代も敵無しみたいなことを言っていたし、今の俺達ですら本気を出されれば勝てるかどうか怪しいのだ。
師匠レベルの魔術師でない以上、エレノアの勝ちは揺るがない。
純粋に魔術勝負をしたとしても、おそらくエレノアが勝つだろう。
「エレノアが勝つだろうな。俺はそんな事よりも、エレノアが楽しくなり過ぎてこのダンジョンをぶち壊さないかの方が心配だ」
「おいおい、勘弁してくれよ?このダンジョンから取れる資源は、この街の生命線とも言えるんだから。もしぶっ壊したらマジで怒るからな」
「やばそうなら止めるよ。あ、そうそう。グランドマスター、ここら辺に壊しても問題ないダンジョンってある?」
「........嫌な予感しかしないが、一応隣国の近くに管理できないダンジョンがある。冒険者ギルドに対応を任されているから、そこなら壊しても文句は言われないぞ」
「マジ?この勝負が終わったら早速行かないとな」
そんな事を話していると、2人の魔力が急速に膨れ上がる。
どうやら勝負が始まるらしい。
「マリー!!開始の合図を頼むぞ!!」
「はいはい。それじゃ、お互いに殺さない程度に頑張って欲しいわん。試合、開始!!」
マリーの合図と共に、先手を取ったのは“炎の魔女”リエリーだ。
エレノアはトンファーすら持っていないのを見るに、相手の力量を測るつもりだな。
「小手調べだ!!
放たれたのは第三級魔術である“
そりゃ、いきなり第九級魔術とかぶっぱなして殺しに行くわけもないわな。
それにしても、実に綺麗な魔術だ。魔力の無駄がほぼなく、それでいて既存の魔術よりも威力が高い。
行使する速度もかなり早いし、伊達にオリハルコン級冒険者の地位にいる訳ではないんだな。
「この程度、避けるまでもないわね」
この小手調べの一撃に対して、エレノアが取った行動はまさかの“不動”。
避けるのでもなく、迎撃するのでもなく、ただ魔力をその身に纏ってリエリーの魔術をその身で受け止めるだけだった。
ゴゥ!!と燃え盛る炎に巻き込まれるエレノア。
だが、元々火への耐性と適性が高いエレノアは当然のように無傷でその場に立っていた。
桁違いの魔力を身に纏う事で、オリハルコン級冒険者の魔術すらも防ぐ天然の盾となる。
お陰様で普段の組手もかなり本気で撃ち込まないと、ダメージが与えられないんだからやってらんないね。
「........中々やるじゃないか」
「そう?ジークも同じ様なことは簡単にやってのけるわよ。それじゃ、私の番ね」
エレノアはそう言うと、リエリーが放った魔術と全く同じ魔術を放つ。
が........
「なんか、違うくね?明らかにエレノアの魔術の方がデカイし強そうなんだけど」
「........強くなり過ぎね。私も本気で殴らないとこれは掻き消せないわ」
エレノアの放った魔術は、リエリーの魔術と比べて圧倒的に火力が違っていた。
込められた魔力も使った魔法陣も全く同じ。だが、レベル差が圧倒的であり、ましてや魔力操作に関してもエレノアの方が数段優れている。
魔力のロスが少く、その分を火力に上乗せしているのだ。
「うげっ、聖なる光よ盾となれ!!“
迫り来る炎の槍を前にして、エレノアの様に不動で居てはダメージを受けると理解したのだろう。
リエリーは、即座に詠唱を開始すると、白魔術の障壁を使ってエレノアの攻撃を防ぐ。
今のは第五級魔術だな。少しの詠唱が必要とはいえ、この速度で第五級魔術を行使できるのは凄いと言っていいだろう。
いや、詠唱をあえてすることで魔術の精度を上げたのか?その可能性の方が高そうだな。
明らかに重たい一撃だったが、光の障壁は何とか炎の槍を防ぎ切る。
第三級魔術を第五級魔術で防いでいる時点で、リエリーには勝ち目が無い。
魔力量の勝負になれば、エレノアの方が圧倒的に優位なのだ。
「あれを防げるのか。俺だったら普通に避けるな。と言うか防げん」
「拳で弾いても、次から次へと撃たれそうねん。ほら、あんな風に」
自分だったらどうするのかを考えながら観戦するグランドマスターとマリーは、エレノアの後ろに百近くも現れた炎の槍に目を見開く。
第五級魔術を持ってして何とか防げるような魔術を、一度に100個も行使されては対処のしようがない。
グランドマスターは乾いた笑いを浮かべ、マリーは難しい顔をした。
「は、ハハ。あんなんどうやって避けるんだよ。マリー、全部拳で弾けるか?」
「出来なくはないけど、何発かは貰うでしょうね。エレノアちゃん。強くなりすぎよ」
「ほぼ毎日俺と手合わせしてるからな........数で押し切る戦法を取るやり方を頑張った結果がアレだ」
「ちなみに、ジークならどうするんだ?」
「使わせないって手もあるけど、使われたところで第三級魔術なら軽く防御するだけで無傷だな。俺達の手合わせでは第五級魔術からしか使わん」
「全世界の魔術師が泣きそうだな。知ってるか?第五級魔術って天才の中の天才しか使えないんだぞ?冒険者で言えば、アダマンタイト級冒険者レベルからしか使えないはずなんだぞ?」
「俺達は銀級の頃から使ってたぞ」
「それは、お前達がおかしいんだよ」
まぁ、師匠から教わらなければ、まだまだ俺達も弱かっただろうけどね。
俺は師匠ならこの状況をどうするのかと考えたが、どうせ“フハハハハ!!”と笑いながら軽く手を振っただけで全て消されるだろうなと思い考えるのを辞める。
師匠はやっぱり強いや。
俺はそう思いながら、エレノアがリエリーを圧倒するだけの勝負を眺めるのだった。
コメ欄にルイズコピペ来てて大爆笑。流石に面白すぎるよ。一応、彼(彼女?)の名誉のために言っておきますが、多分ネタです。多分.......
リエリー「クンカクンカ?モフモフ?よく分からんが、応援されてるんだな‼︎」
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