あいつとは
@AI_isekai
あいつとは
「あぁ。またか。」
あいつが、いつものように教室へと入りあいつを待つ友達と共に他愛のない会話をする。
そして、いつものように俺のことは見て見ぬふり。
「あぁ。またか」そう呟くのも何度目だろうか
別段、無視をされることが辛いわけではない。友達だっているし、あいつと仲良くしたいわけでもない。
でも、やっぱり気になってしまうのはどうしてなんだろうか
考えてはみるが、やはり長くは続かない。
そして、いつものようにあいつのことなんて忘れて…明日を迎える
朝礼、先生が教室に入って早々とても硬い表情で重々しく告げた。
「皆さんに、伝えなくてはいけないことがあります。昨日の下校中、このクラスの—―さんが、車に轢かれてしまい交通事故で――――――――」
――あいつが、死んだ!?
突然だった、唐突だった、いきなりだった、予想なんてしていなかった、知らなかった、分からなかった、なんで?
あれ、俺なんで…悲しいんだろ
心の底?心の奥?心のどこだろう…"空洞"が
今まで、何も感じなかったのに。何も…何も……
「どうしたんだよ、
俺の名前を呼ぶ
「わりぃ、ちょっとボーっとしてて」
「そうか、俺さ驚いてるっていうか、実感が湧かないんだよ。あいつが、死んだなんて。蓮は、そのあいつのことでなんかあったんだよな。俺こそ、悪い……」
「いや、そうなんだけど。違くて……」
違う?何が、違うんだよ。自らの心に言い聞かせるように、樹にはそう返す。
ふと、樹の顔を見れば高校生とは思えないほど目元は膨らみ泣き出しそうだった。
きっと、樹も辛いんだろうな。俺なんかより、あいつと絡んでたんだからさ。
「違うって、何が違うんだ?」
「俺、今頃気づいたんだけど――いや忘れてくれ。やっぱ、あいつのことは考えたくない」
「蓮それってどういう……!」
樹は表情をこわばらせた。少し怒気のこもった声で俺に発したもののその声も次第に小さくなった。
俺は、樹に"あいつ"のことなんてどうでもいいと言っているように思われたんだろうか。そう思われても仕方がないような気がした。だってあいつのことを考えると胸が痛くなるから。
「蓮……その顔」
「……え?」
樹にそう言われて、初めて気づいた。自らの頬を伝う水滴に。
――涙に
あいつとは @AI_isekai @isekaiAi
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