ひねくれものの麻雀

猫カイト

第1話 入部

私は夢を見た。

それはどこかの宿で麻雀をしている夢だった。

「おめぇ、上がればどうなるかぐらいわかってんだろ?」

サングラスを着けた男が私の背中に刃物を突きつける。そんな非現実的な状況に改めて私は夢だと再認識する。

そんな状況で上がるほど私は馬鹿じゃない。

「天を目指した私の最後がこれとは神様も皮肉ね。」

自分が勝手に手牌を倒していく。

「し、正気か!?この状況で上がるやつがいるか!?」

「人間はいつか死ぬ...なら最後ぐらい天に手を伸ばしてしにたいじゃない!!ツモ!!」

そこで私の目の前は赤く染まり意識は途絶える。


「またあの夢...ほんとに後味が悪い。」

私は最悪な気分で目を覚ます。

寝汗を書いた体と頭をリセットするためにシャワーに入る。そんなシャワーの中私のスマホが振動する。

「ゲッ、皐月からの電話」

須堂皐月 腐れ縁の同級生だ。どうせ私を学校に誘う為に電話を書けてきたのだろう。

私は彼女が苦手だ。

天真爛漫で太陽のような少女、当然学校でも人気がある。

それなのに不登校気味の私を心配し構ってくるいい子だ。

そんな彼女が苦手な理由は彼女ではなく自分にある。

自分の性格は彼女とは真逆のひねくれものだ。

彼女を見ていると自分の悪いところが良くわかり嫌になるそれで彼女は苦手だ。

私はスマホを操作し、彼女の留守電を一応聞く。

「十六夜!!今日こそ来てね!」

彼女の明るい声でそう残されていた。

「全く朝から元気ね...気分転換にでも行ってやるか」

自分にいいわけをし、準備をする。


「十ー六ー夜!」

皐月が私を見つけるやいなや抱きついてくる。

「暑苦しい...離れて」

私は彼女を振り払い席につく。

「よう十六夜!元気そうだな」

クラスメイトの京介が嬉しそうに話しかけてくる。

「そう?そんなに元気じゃない」

私は京介に不機嫌な感じを出し返事をする。

「またあの悪夢を見たのか?」

京介は心配そうに顔を伺ってそう聞いてくる。

「悪夢?」 

皐月はそれが気になり聞き返す。

「あぁ、十六夜の奴...」

京介が勝手に私が話した悪夢について彼女に語りだす。

「へぇーそんなことが..まぁ夢なんだしあんまり気にしなくていいんじゃない?」

彼女は私を安心させる為にそう告げる。

「別に気にしてない。」

私は別にそれが現実に起こるとは思ってはいない。だけど自分が死ぬ夢なんて嫌になって当然である。

「そういえば俺、こんな事があってさ」

京介が世間話を始め話しているなかチャイムがなる。

「皆おはよう!お、十六夜今日は来てるのか!それじゃ朝礼始めるぞ!」

先生が入ってきて不登校気味の私が来たことに喜びうきうきで朝礼を始める。


朝礼が終わって授業が始まりもう昼休みまで過ぎた。

「そういえば十六夜部活どうするんだ?募集明日までだぜ?」

京介は思い出したかのように告げる。

「帰宅部でいいかな」

「勿体ないよ!高校の部活なんて一生に一度だよ!?」

皐月は私の話を聞き、すぐそう返す。

どうやら彼女は私を部活に入れて少しでも明るくしたいようだ。

「麻雀部なんてどう?」

クラスメイトの五十嵐が突然そう話しかけてくる。

「麻雀部の対抗戦がもうすぐなのに部員足りなくてさぁ。」

麻雀部...昨今の麻雀ブームという事もあり、今人気が出始めている部活だ。

悪くはないが今朝の悪夢があり私は断ろうとした最中

「いいね!三人で麻雀部に入ります!」 

皐月は突然そうつげる。

「なんで!?」

私には珍しく大声をあげる。

「イヤー夢にまで見るぐらいだから好きなのかなって思って。」

「嫌、別に好きなわけじゃ」

「ほんと!?部室は二階だから~」

五十嵐は走って去っていく。

私は彼女のこういうところがきらいだ。

「京介は良かったの?」

私は巻き込んだ形の京介を心配する。

「あ、うんまぁな...」

京介は神妙な顔をしている。

「断りたいなら今のうちだよ..」

私は巻き込んだ京介を心配し、そうつげる。

「大丈夫だよ..」


放課後私達は部活見学に来た。というか無理やり皐月に連れてこられた。

部室は思ったより綺麗でソファーもある。

そのソファーで寝ていた女の子が立ち上がる。

「君たちが五十嵐の言ってた新入部員やな!私は部長の里中よろしゅう!」

部長の里中は元気良く挨拶をする。

「別にまだ入部するときめたわけじゃ。」

「それじゃ、これ書類な!」

彼女は無理やり話を進める。

「十六夜のも書いといたよ!」

皐月が勝手に私の書類にサインをする。

「待って、」

「これで晴れて君らは内の部活の一員やな!よろしゅう!」

いつの間にか入部させられた私たち一体どうなるの?
























 


















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