辺境の最強女侯爵(へんきょうの さいきょう おんなこうしゃく)

くろぶちサビイ

1.

 パブロ王国が建国されたのは、十八世紀である。

 それ以前のこの地のことを調べてみると、現在の国王一族であるマルク家の最大敵対勢力として、エドバルド家の存在が明らかになる。

 長い歴史の中では、エドバルト家がマルク家を押さえてこの地を支配していた時期もあったが、17XX年の「セントシャギャウルデーの戦い」でマルク家が勝利をおさめて最大勢力の地位を奪還し、翌年、パブロ王国の建国を宣言した。

 パブロ王国建国後、侯爵の地位を得たエドバルド家は、現在もパブロ王国山間部に私領地を有しており、その広さは、個人(国王と貴族を含む)が所有する領地の中で国内最大級を誇る。

 その中心部にある小さな町は、石畳の道路や石造りの建物などの、二十世紀初頭に作られた街並みを保っており、そこから少し離れた農村地帯は、起伏の多い地形を上手く利用して作った果樹園や麦畑などが伸びやかに広がっていて、あたかも百年以上前にタイムスリップしたかのような風景を楽しめる。

(パブロ王国観光ガイドブックより)

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