美少女魔導士エランちゃんの手日記ぱーとわん



 魔導学園に入学した私は、日記をつけることにした。

 日記とは、その日あった出来事を書いておくなどするものだ。後で見返すと、このときこんなことがあったなぁ、なんて感傷に浸れる。


 師匠も、その日の出来事を日記としてまとめていたし、私も真似しようと思う。

 だけど、初日はごたごたして日記をつけるのを忘れてしまったので、今日からつけることにする。

 まあ、今日もごたごたしてはいたんだけどね。


 入学初日には、クラスメイトと決闘したり、お茶会に誘われたり……

 今日は、先輩と仲良くなったり、魔石採集の実習中に魔獣と戦ったり、エルフについて調べたり……


 色々なことがあったけど、まずやるべきことは、仲良くなった子の名前を覚えることだ。

 なので、順番に書いていくことにする。



 私が一番仲がいいのは、もちろんクレアちゃんとルリーちゃん。

 だけど、ルリーちゃんはクラスが別になってしまった。残念だ。

 クラスにいるのはほとんどが貴族の子で……そして、クラスメイトの名前は……



 カリーナちゃん……お茶会に誘ってくれた子だ。

 ユージアちゃん……同じくお茶会に参加した子だ。

 ロリアちゃん……お茶会に参加した子で、元々は平民だったけど今は貴族になったらしい。筋肉男に席を取られていた。

 シルメィちゃん……お茶会に参加した子だ。

 キリアちゃん……お茶会に参加した平民の子で、魔力の流れを感じ取ることができる。魔石採集の時に一緒だった。



 話しかけてくれたクラスメイトは他にもいたけど、仲良くなったと言えるのはこの五人。

 やっぱり、一緒にお茶会したのが、よかったのかな!


 あとは……仲良くなった、というわけではないけど。

 妙に印象に残ったクラスメイトも、いる。



 ダルマ男……入学試験の日に、ルリーちゃんをダークエルフだからといじめていた男だ。ただ、いけ好かないやつではあったけど、魔導の腕前は悪くない。魔導を扱えて、且つ剣も使える者を魔導剣士というみたいだ。少し見直したけど、やっぱり嫌い。

 筋肉男……ロリアちゃんの席を奪った、話の通じないやつ。自分のことかっこいいと思ってるヤバいやつ。ある意味で底が知れない。



 この二人に関しては、なぜか魔石採集のときも一緒だったし……

 妙なところで縁ができてしまったよなぁ。


 仲良くなったのは、クラスメイト以外にもいる。



 ナタリアちゃん……私と同じ【成績上位者】で、ルリーちゃんのクラスメイト。魔眼を持っている。右目だけ変色していたので、多分片目だけ。魔眼ってのは、エルフの瞳の名称らしい。魔力の流れを見ることができるその力で、ルリーちゃんの正体に気づいた。

 ノマちゃん……私のルームメイト。きれいなドリルの髪をしているけど、お手入れに時間をかけているらしい。お世話係のカゲくんが朝早くから部屋に侵入してきたときは、焦った。どうやら同じクラスの王子に一目惚れしたらしい。

 ピアさん……先輩。魔導具技師を目指している発明家で、学園の研究室で様々な魔導具を作っているみたい。猫の獣人。アフロ。

 レニア先輩……ピアさんのクラスメイトで、図書委員。小人族ドワーフなのを知らず、年下だと思ってしまった。ごめんなさい。



 クラスメイトだけじゃなく、先輩とも交流を深めている。なんて素晴らしい学園生活。

 仲良くなったのは、みんないい人ばかり……では、ないのが残念だけど。


 ダルマ男や筋肉男、そして……うぅん、あんまり書きたくないけど……日記だし、仕方ないか。



 ヨル……私と同じ【成績上位者】で、私と同じく組分けの際魔導具水晶を壊した男。且つ、私と同じ黒髪黒目。すごい魔力を持っているのは確かだけど、突如変なことを口走る変人。あんまり関わり合いになりたくない。同じクラスのルリーちゃんが心配。



 変な人にも絡まれてしまったけど、学園生活はわりと楽しい。

 それに、今までとはまた違った濃厚な時間を過ごしている。入学間もなくでこれだ、この先も色々なことがあるだろう。


 早速、入学してからもいろんな騒ぎがあったし。

 ダルマ男との決闘、ルリーちゃんを狙って現れた魔獣……他にも、書くことはたくさんだ。


 ……でも、そろそろ眠くなってきちゃった。

 今日は、ここまで。知り合った子たちの名前をしっかりと、書いて覚えておくことにしよう。

 他の騒ぎについては、またいずれ……


 ……日記ってこういうのでいいんだろうか。

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