第8話 大会の応援に来てほしい

春香だけは本気で許す事は.....無いと思う。

俺は考えながらそのまま鈴香と一緒に話をして帰宅を見送ってから。

そのままソファに座って考えていた。

すると風呂から上がった環がやって来る。


「お兄?.....大丈夫かな」


「ああ。.....まあな.....うん」


「.....まだ考えていたの?さっきの」


「.....そうだな。.....俺はまあ.....考えてしまう様な男だからな」


「そっか。.....心からって言える程に本当に優しいもんね。お兄」


「これが優しいという感情かは知らないけどな」


うむ。.....お風呂に入って目を覚ましたら?、と言ってくる環。

俺は、それもそうだな、と言いながら立ち上がる。

それから環を見る。

有難うな、と言いながら。


「何がですかな?」


「アドバイスもそうだが毎日有難うな。本当に」


「.....成程。有難く受け取らせて頂きますぞ」


「いやお前。どういう口調だよお前は」


全くコイツは。

思いながらクスクスと笑う俺達。

そしてそのまま俺は風呂に入った。

それから少しだけ考えてから風呂から上がると.....タオルで頭を拭いていたのだが。

スマホが鳴っていた。


「お兄。電話みたいだよ」


「.....らしいな。誰からだ?」


考えながら見るとそこには.....鈴の文字が。

俺は?を浮かべて電話に、もしもし、と出る。

すると鈴が、あ。もしもし、と声を発する。

何の用事だ、と聞くと。

数秒黙ってから声がした。


『私、今度部活動の大会があるの』


「.....?.....それで.....応援に来てほしいとか?」


『そう。なるなる。分かっていますな。はっはっは』


「はっはっは、じゃねぇよ。俺は暇じゃない。行く気も湧かないぞ.....」


『.....うん。それは心から分かってる。.....でも来てほしい。.....励みになるから』


「.....仕方がねぇな.....」


嫌でも行くしか無いだろうなこれ。

じゃ無いとコイツの性格上。

きっと自宅に攻め込みに来る。

俺の家に、だ。

面倒臭すぎるのだが。


『有難う。本当に。.....愛してるよん』


「.....馬鹿野郎かお前は。冗談でもよせ。今はそんな言葉は聞きたくない」


『アハハ。そうだね。今のはやり過ぎた。ごめんなさい。.....でも応援に来てほしいのは本当だから。.....ゴメンね。今週の土曜日なんだけど.....』


「.....仕方がないので行く。お前の事だから後が怖いからな.....」


『宜しい。有難う』


「鈴。.....今日の件。知っているのか」


『.....うん。喧嘩したって話でしょ。.....春香と』


ああ。知ってんのか。

俺は目を丸くしながら目の前の外の景色を見る。

そうしていると、私も春香は嫌いだよ。今は、と語る。

それから数秒間黙った。

そして俺が何かを言い掛けた時。


『私は.....春香の事を信頼していた。.....友人として君と付き合い始めておめでとうって思ったの。.....でも今はそんな感情は湧かないな』


「.....そんな感情があったのか?」


『それはそうでしょう。.....だって友人だしね。春香とは』


「.....そうか」


そんな感じで会話をしながら。

俺は窓に手を添える。

すると、でも今はもう何も信頼出来ない、と答えた。

なぜ春香はこんな事をしているのかも分からない、とも。


『.....私は.....君を本当に良い人だと思っている。だからこそこの裏切りは頭に来た』


「.....お前.....」


『私は心底貴方が良い人だって思ってる。世界中の誰よりも』


「.....愛の告白かな?」


『.....ファぁ!!!!?そんな訳無いし!!!!!』


大声を発するな。

そんな訳ないのか?

ならまあ良いけど.....。

まあでも。

俺は考えながら目の前を見てから息を吐く。


「.....有難うな。お前もそうだけど」


『.....うん』


「.....まあこのお礼として行くよ。お前の大会に」


『有難う。.....その分のお礼はするから』


「.....あ?それはどういうの?」


えっと、一緒に遠くに買い物に行かない?、と聞いてくる。

俺は!と思いながらスマホに力が入る。

そして力が抜ける。

俺は、それは今はいい、と言う。

今はそんな気分じゃない、とも、だ。


『.....うん。きっとそう言うと思った。.....だからその.....行きたい店があるの。そこだけ.....お願い。付き合ってほしい』


「.....何処だ?それは?」


『.....大会に優勝したら.....で良いから。猫カフェに行きたいの』


「.....猫カフェ.....え?.....それで良いのか?」


『で.....うん。それで良いの。私は.....君と一緒が良い』


で?ってなんだ。

しかしまあさっきからマジに恋人の会話だなこれ。

まあ俺にはそんなものもう必要無いけど。


思いながら、分かった。大会頑張れよ、と応援する。

すると鈴が、ねえ。私の性格って可愛い?、といきなり聞いてきた。

いやちょっと待て何聞いてんだコイツは。


「.....何だそれは.....いきなりだな。.....分からんが可愛いぞ。たぶん」


『.....ふあ.....そ.....そう.....』


「.....???」


分からん.....意味が。

俺は考えていたが、じゃ、じゃあ通話料が掛かるし切るね、電話がブツッと切れる。

何!?、と思ったが全ては後の祭りだ。


思いっきり切れてしまった。

何だか半分は意味が分からん電話になっていたが。

つまりは大会会場に行ったら良いわけなのだろうか?

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