第二章 冒険劇団【ながやまこはる×映画撮影クルーの転生モノ】

長山春子

第1話「製作開始」~田舎女優ナガトと海外女優カーチャ~

『冒険劇団』

シーン1「製作開始」~田舎女優ナガトと海外女優カーチャ~


神子アコヤ「ナガトヲクリョ…お願いみんなを救って…」

勇者ナガト「私、世界を護れるかわかりませんが、この子の勇者になります」


電光掲示板に映画が写る、勇者の剣を持つ女子高生のナガトと先住民エルフのコヤを肩に寄せ、マントを翻している


ナガト「はは、なんかすごいこと言ってる私…」

アコヤ「かっこいー」


アコヤ「あ!」

ナガト「ソフトクリームだ!」

ナガト&アコヤ「ふふふ!」

二人のはじめの馴れ初めは


3年前

映画の完成を祈ってかんぱーい!

と掛け声からバイキングをとってゆく


カーチャ「前に、SFものの電脳世界のおわりの撮影でお会いしましたね、カーチャです、よろしくナガト」

アヅマ「ナガトさん!あ、あのときの!美術スタッフのアヅマです、よろしくお願いいたします!」

ナガト「確か閉じ込められた宇宙船の…あれすごくよかったです」

カズヒロ「あのときハッチに頭ぶつけちゃったから、よろしく頼むよ?」

パー子「なんじゃおまえ、アヅマちゃんに文句あるのか、オーダーメイドの衣裳の修理代返せよ」

金之助「あー、あとマスクして呼吸が止まりそうになったけど宇宙空間の緊張感が出てよかったし、頭ぶつけるのも演出的に逆にリアルでよかったな、衣裳は普通にダサかったけどな」

パー子「パイロットスーツを着こなせないお主がダサいのじゃ、もっと筋肉つけんかこのもやしども!」

カズヒロ&金之助「おいバカ、やめろ」

ドン!

ツキタ「うわっ!エナジードリンクこぼした!あー今日朝イチで仕上げたコンテががが…」

ナガト「脚本が濡れちゃったんですか!?」

カーチャ「それは大変です!ふきん持ってきます!」

ツキタ「ははは…まあこれ次の次にやる映画の原稿だから関係ないけどね」

ナガト「冒険劇団…これすごくいいです、特にこの女子高生のヒロインと異世界のエルフの子役、これだけでも物語に引き込まれます」


場面転換

ハルコ「おー、やってるねー、お兄ちゃん」

ヨウタ「ハルコ、最初は挨拶が大事だからな…っておいまて!そっちは!」

ハルコ「あだっ!」

ガシャーン!

岸田「ん?なんだこのお嬢ちゃんは」

ヨウタ「すみません!片付けます!」

ハルコ「このおっさんがぶつかってきたの!」

岸田「…お前ら合格だ、役者なら、日常の立ち振る舞いから、登場人物に入り込まないといけない、兄と妹というのはお前らで考えた設定か?」

ヨウタ「いえ実の兄です」

ハルコ「うわー変なこと言ってる、このおっさん頭ぶつけたのかも?」

岸田「…よし、0点だお前ら、田舎に帰れ」


ナガト

見てカチューシャこの写真?


カーチャ

これは世界遺産?


オレンジ色の瓦屋根が印象的で

バームクーヘンのような優しい色合いのお城だ、お城というより、令嬢の立派なお屋敷のような、パリにありそうな聖堂のような、不思議と異国情緒の漂うお城だ

そこに煉瓦作りの鉄錆びた赤色の…少し残念だが経年劣化で崩れた囲いがあるが、それも城の堅牢だった時代を感じさせてくれる、まるでシルバニアファミリーのお屋敷にある高級な庭園みたいだ、噴水でもおいたらよいが…と思ったら噴水のようなものもある、井戸?溜め池?だろうか、時代考証も捗る

この空間を見るとミュージカルがいまにも始まりそうだ、ここでケルト民族のギンガムスカートを着た伴奏隊がならんで、スウェーデンの高山に住む田舎娘が、ちょっとお洒落な濃いブラウンとベージュとドレスを着て裸足で躍り、例えるなら、異世界アニメの「このすば!」のように、フリフリな女の子の踊り子のような衣装で歌い、そして冒険者が小樽のエールぐっと飲めば、そこは天国かもしれない

庭を思わせる緑色の芝生は、複雑な山の山頂の地形に鍾乳洞のような複雑な曲線と天然の橋を形成している、アリスインワンダーランドの映画のシーンみたいだ

天然芝生の黄緑色の丸っとしたドーナツのようか橋に沿って、城は邪魔にならないように丸っとしたバームクーヘンのような砦や門を立てている、自然と建物が一体化してて建築家の遊び心がわかる、ホグワーツの魔法学校を女の子が設計したらこんな感じかも?と思う

ツキタ「どうかなこれ?写真に実際のキャラをデジタルで加工して描いてみたんだ」

ナガト「すごい!すごい!どの写真も世界遺産の城と庭園と異世界アニメのキャラが生き生きしてて、この宴会に招待されたいと思います!」

カーチャ「はっ!確かに引き込まれました…こんな奇跡的な地形見た事ないので、グリーンイエローの庭園が、ドーナツのようなアーチを描いた天然の山の橋に、そこにオレンジとブラウンのお屋敷の高めの砦が雨宿りできそうなアーチをさらに作ってて、ちょっと後ろの溜め池?に落ちたら怖いですが、ここで集合写真を記念撮影する観光客がいるのもわかります、少し崩れたレンガの敷居に噴水のようなものを作った形跡もある…ハァ…It's so beautiful…」


ツキタ「だろ!?ここを取材班と見つけたときは興奮しすぎて絶句したよ!世界遺産か?と問い合わせたけど、未発見の遺跡らしくて!」

カーチャ「触らないで!…あっ、ご、ごめんなさい、あの…嬉しいのはわかりますが、男性が怖くて…」

よくみるとカーチャは手が震えていた

ツキタ「ええっと、ごめん!つい夢中になって…女の子が僕の好きなことを全部話してくれるから、思わず握手しちゃったんだ、ごめんなさいカチューシャさん」

ナガト「ふーん、じゃあこうしましょ!」

ナガトは監督の右手とカチューシャの左手を両手で持った、三人はひとつのアーチだ

ナガト「これなら握手のうちに入りますよね!?」

カーチャ「これが日本式の握手なのでしょうか?」

ツキタ「違うけど、小学生の頃とかはこれで正解だったかも?男子と女子と交互に繋いでたような…なんか恥ずかしかったやつ」

ナガト「ぷっ!あははははは!それって運動会のフォークダンスじゃないですか!」

カーチャ「ふふふ!なんだか楽しくなってきました!~♪」

ツキタ「お、踊るの?」

カチューシャ「Ой, полна,полна моя коробушка~♪」

ナガト「コロブチカだー!イェースチ、イ、スィーチィツ、イ、パルチャー!」

カチューシャ「お、いけますか!?Есть и ситец, и парча, Пожалей, моя зазнобушка~♪」

ツキタ「ええ?ふーふふん?ふーふふん?ふふふんりちゃ~?」

カーチャ「Молодецкого плеча~!」

ナガト「マラヂェーツカヴァ、プリィチャー!ですよ!」」

ツキタ「え?なんて!?」

ナガト「パジャレーィ、マィヤー、ザズノーブゥシカ、マラヂェーツカヴァ、プリィチャー!」

カーチャ「Hey!Пожалей, моя зазнобушка,Молодецкого плеча~!」

ナガト&カーチャ「HAHAHAHA!」

ツキタ「あははは…すごかった、色々と…」

パチパチパチパチと会場にいた出演者と撮影スタッフの拍車喝采が鳴っていた

気付いた頃にはみんながカーチャのコロブチカを歌ってた


披露宴会場が終了したあと、タクシーの帰りにて

ナガト「あのカチューシャさん、今日は楽しかったです」

カーチャ「カーチャでいいわ、私もすごく楽しかった」

ナガト「じゃあカーチャまた撮影日に!」

ツキタ「カーチャさんのおかげですごい良いシーンが撮れそうだよ!ありがとう」

カーチャ「さんはいらないですよ監督」

ナガト「え?この人が監督!?」

岸田「そうだ、今回の映画はそいつに任せることにしたからよろしく」

ハルコ&ヨウタ「師匠~!芝居の指南を!」

カーチャ「知らなかったんですか?」

ナガト「えええ!!?」

つづく




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