私は今日もあの子に恋をする

@akizoradaisuki

第1話 一目惚れしたのは同性

大変だった高校受験を終え、いよいよ高校生活が始まる。

入学式にはちょうど桜が満開で、「今年はタイミングが良かったね。」と、母と話をしていた。

そして、クラス分け表を見に行き、私は1組だった。

8クラスもある中、これから2年生、3年生と進級するたびに同じクラスになれる子は、たくさんはいないかもしれない。

教室に入り、出席番号順に席につく。

私は窓際に座り、校庭でクラス写真を撮っている生徒たちを眺めていた。

知らない環境、これから私の高校生活はどんな風に色づいていくのだろう。

恋に勉強に、そして将来はどんな私になっているのだろう。

期待と不安の中、無事にこの日を終え、私は下駄箱で待っている母のところへと駆け寄った。

校門までの道、風が吹くと青い空に桜の花びらがひらひらと舞った。

舞っている桜の花びらを掴もうと手を伸ばしたその先に、校門に1人立っている子がいた。

桜の花びらと、青い空と、風に舞った長い髪、その瞬間、私はその子に恋をした。

人生で一目惚れなんてしたことがなかった。

ましてや同性に一目惚れをするなんて。

友達か親を待っているのか、時折周りを見渡しながら、キョロキョロしているその子は、立ち止まったまま見つめている私に気づかない。

あの子は何組なんだろう。

名前も知らないあの子は、どこから来てる子なんだろう。

同じ電車だといいな。

母に「どうしたの?行くよ。」と言われるまで、私はその子を見つめていた。

母と歩きながら校門を通る時、恥ずかしさのあまり下を向いたまま、その子の前を通り過ぎた。

家に帰ってからも、私の胸の高鳴りは収まらない。

あの子と話す機会はあるだろうか。

でも、話しかけるにも緊張するし、何を話せばいいのかわからない。

私の中学時代は第1モテ期と言っていいほど、告白されることが多かった。

もちろん、男の子を好きになって告白したこともあった。

しかし、自分から告白する恋は一度も実ったことがない。

男の子に告白されて、付き合ってみようかと付き合うことが多かった。

今思うと、恋愛への好奇心が強かっただけなのかもしれない。

そういう恋愛ばかりで、本気で好きになったわけじゃなかったから、到底長続きもしない。

男の子と付き合うときはもちろん、手を繋いで一緒に帰ったりもした。

その帰り道、ドキドキしながら男の子からのキスを待っていたこともある。

中2の時ひとつ上の先輩とファーストキスをした。

そんな私の中学時代は、普通の女の子だったと思う。

男女数人で映画に行ったり、遊園地に行ったり、その時は楽しくてとても充実していた。

しかし、そんな中学生の頃とは違う恋をしてしまったのだ。

入学式から数日、私は1人電車に乗り登校をする。

朝のラッシュに乗り込み、ドア付近に立った。

やっぱり朝のラッシュは混んでるな。

これが毎日続くのかと思うと嫌気が差した。

長身の私は、きれいな空気を吸おうと上を向いた。

ふと、2つ先のドア付近を見ると、私と同じようにきれいな空気を吸おうと上を向いている子がいた。

あの子だ。

私はその姿を見ると、心臓がドキッとして、思わず下を向いた。

あの子と同じ電車だった。

こんな偶然があるんだろうかと、顔がにやけてしまう。

私は顔を上げ、人と人の隙間からあの子を見ていた。

友達と乗ってる様子はなく、1人で乗っているようだった。

それから駅に着き、私はその子の後ろ姿を見ながら登校した。

学校に着き下駄箱で靴を履き替えてるあの子は、どうやら7組らしい。

私がいる1組の教室から7組は遠く、端から端までの距離がある。

トイレも別々だし、7組の方に行く用事もない。

学校の中で会えるのも奇跡かもしれないと、私は思っていた。

それから私は、同じクラスの子数人と仲良くなった。

仲良くなった子たちと同じ電車だということがわかり、学校帰りに寄り道をしようなどと話していた。

それはそれで楽しくて、カフェに寄ったり本屋さんに行ったりと女子高生を満喫していた。

私は中学生時代、運動部に入っていたが、高校生になったらアルバイトをして、お金を貯めたかったので、部活には入らないと決めていた。

両親も最初は反対したものの、私のやりたいことを尊重してくれていた。

そして、1学期も終わる頃、私に奇跡が起きたのだ。

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