第12話

「すごく不気味だね。」


洞窟に近づくにつれて洞窟の方からただならぬ気配が漂ってきている。


「これは魔王セクメトの魔力でしょうね。」


まだ洞窟まで200mぐらいあるのにこの魔力。やはり魔王というのはただものではないな。


「俺たち勝てるかな?」


つい、アテネに聞いてしまう。


「何弱気になってるの。ポジティブになりなさい。そうじゃないといつも出来ていることができなくなるよ。」


アテネに諭されてはっとした。そうだ。こんなに思い詰めても何も生まない。当たって砕けろの


精神で突撃するしかないか。


「アテネ、ありがとう。おかげで目を覚ませたよ。」


「それでこそ私の婚約者よ。さあ、行きましょう。」


「よしっ。いくぞっ!。」


俺の掛け声とともに俺たちは洞窟に突撃した。


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「ようやく来たか。早く女を連れてこい。」


洞窟の中に入るとその中には金銀財宝に囲まれた黄金の椅子に座っている男がいた。


「お前が魔王セクメトか。」


「お前、男じゃないか。ふ~ん。あのゴミ竜ども、俺に逆らう気か。めんどいがちょっとお灸をすえてやらないとな。」


「そんなことさせると思うか?」


「うん?お前らに何ができるのか?」


「やってみないと分からないだろ。」


俺たちはその言葉とともにセクメトに斬りかかった。


「ふんっ。こんなやわな攻撃で俺を切れると思っているのか。」


「えっ?」


俺たちの攻撃はセクメトによって受け止められた。


(今こいつ何をした?全く見えなかった。)


俺たちは、先ほどの攻撃よりも出力を上げて攻撃する。


「おお~。さっきよりもいい感じになったな。」


「くっ。」


またもや、俺たちの攻撃は受け止められた。こいつは油断しているからか、今のところ攻撃してくることはない。なら、攻め続けるしかないな。


「まだまだいくぞっ。」


俺は身体強化などを使っていく。


「なかなかやるな。俺もちょっと本気、出しちゃおっかな。」


セクメトはそういうと突然、こちらに攻撃してきた。


「ぐふっ。」


自分の腹を見ると、脇腹から血が出ていた。アドレナリンが出ているからか、あまり痛みを感じない。周りを見るとみんな血を流して倒れている。これが魔王の力か…。勝てる気がしない。だが有名なバスケ部の教師も言ってたよな。諦めたらそこで終わりなんだ。ここで負けてなんかいらない。俺たちは魔神を討伐しないといけないんだ。魔王なんかで手こずってなんかいられない。だが、普通に戦っても勝てないか。頭を使わないと、か。なんか良いアイデアないかな?とりあえず


「鑑定」


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ステータス


セクメト 魔族 60歳 Lv72


称号:魔王 魔神ラーの忠臣


HP:1062(+1000)/1092(+1000)


MP:910/1421


筋力:730(+1000)


俊敏:614(+1000)(+400)


防御:684(+1000)(+500)


器用:722(+1000)


運 :25


固有スキル:魔王覇気


通常スキル:防御(Lv5) 反射(Lv2) 俊敏(Lv4)


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「魔王覇気か。鑑定。」


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「魔王覇気」


魔王のオーラを出し、周りを威圧する。自身を強化する。


MPを消費し、MP以外のステータスに+1000する。1分間あたりのMP使用量は100




「反射」


攻撃を跳ね返す。


自身に与えられた攻撃を50%にして返す。一定以上の強さの攻撃を感知すると自動で使用する。一回あたりのMP使用量は10



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なるほど。これがセクメトに攻撃が当たらない理由か。なら、MPが切れるのを待つのみか。


「みんな!あと9分たったらあいつはMP切れになる。そこを狙えば勝てるはずだ。それとあまり強い攻撃はするな。自分に帰ってきてしまう。それなりの強さの攻撃をし続けてくれ!」


「わかった。」


「おいおい。俺がそれをさせると思うか?今すぐにでも終わらせてやるよ!」


俺の叫びにより自身の弱点がバレてしまったからなのか、セクメトは突然、積極的にこちらに攻撃してくるようになった。


「うっ。」


このままだと5分も持たずに全員やられてしまう。どうにかしてあいつにMPを使用させねば。そして早く魔王覇気の効果をなくさねば。何かいい考えはないものか。


「セルス!何で強い攻撃をしてはいけないの?」


アテネが聞いてくる。


「あいつは反射っていうスキルを持ってるんだ。」


俺はアテネに反射のスキルについて端的に説明した。それを聞いてアテネは何かをひらめいたような顔をした。

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