誘惑

 そこは誰が言ったか宝の泉。女神が現れ、落とした物を高価な物に換えてくれると。


 いやしい男が泉に古い斧を落とす。しかし女神は出てこない。男は痺れを切らし泉に飛び込んだ。


 水の感触がない。瞼を開けば広間に陰気な顔が五つ、六つ。


「おい、女神はどこだ」


 陰気な顔がゆっくり呟く。


「また一人釣れた」

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