悪魔と鬼

 俺の心に悪魔が住み着いた。事ある毎に俺をそそのかそうと、あれやこれやとささやいてくる。ほうら、そこの鞄の口が開いてるぞ、財布が盗れそうだぞ。だと。


「お婆ちゃん気を付けて。鞄の口が開いてるよ」


 逆に助けてやった。悪魔の地団駄が聞こえる。たかが悪魔如きが、俺にいたのが運の尽きだ。俺は天邪鬼あまのじゃくだ。

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