501-550

かわき

 珍しい土砂降りの夜だった。雨宿りを口実こうじつにぎわう酒場。入口の戸が開き雨が吹き込んだ。するといつ入ったのか、帽子を目深まぶかに被った男が一人。帽子から雨でも降っているかのようにボタボタとしずく。客は誰一人気にもめない。


「水を一杯」


 客のグラスの水を飲み干す。また戸から雨が吹き込んで男は消えた。

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