いつからこんなにあくせくと
人でごった返す通勤時間の駅前で、男が叫んだ。
「何をそんなに急いでいるんだ! 時間がわからなくなったのか? 思い出せ!」
それがどこの誰だか知る人はいない。暇な男だ、と冷ややかな目が向けられる。だが男は毎日現れて同じことを叫んだ。一年……十年……百年経っても、男はまだ歳をとる様子がない。
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