幻の幻

 人々は色めきだつ。

「本当だ。一瞬だったが俺は見たんだ。夜の山で、木々の間に白く光る幻の生物を」

 ある人はひと目見ようと、またある人は捕まえて見世物にしようと、次々と山へ入る。夜になり、それは突然現れた。

「見ろ! いたぞ!」

 幻の生物は、叫ぶ人間を見て目を丸くする。

「人間だ! あの幻の!」

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