第21話  仕事からの帰り道。


夕方、 仕事終えての帰り道。


自宅から、ちょっと手前の道路脇に車を停める…。



だいたい毎日、ここに停める。


ここは、人通りも少なく、車は滅多に通らないから、実に静かである。


自宅に入る前、 約一時間くらい、ここで一服しながら、ラインをしたり、スマホのサイトを楽しみ、疲れを取り、帰るのだ。



自宅でくつろぎゃいいじゃんか…っていわれそうだが、 そこはまぁ、俺にも訳があり、とにかくここで休んでいくのだ。


コーヒー飲んで、 スマホいじって、一服する…。



一服してると、たまにゃ、おしっこもしたくなる。


ここは立ちションの絶好な場所でもある。


まぁ、たまには人が通るから、見られることもあるが、立ちションなんてぇやつは、電信柱の陰や塀のすみっこでオドオド、キョロキョロしながらやるから余計に注目を浴びて、しかめっ面を投げかかられるんだ。



茜色に染まった雲や、段々と光輝く星がまばたく夜空なんかを、悠然と眺めながらしてりゃぁ、 俺の股間には気付かず視線の先の空を無意識に一緒に眺めながら、 通りすぎで行くってもんだ…。


しかし、たまにはそれでも、みっかっちゃうこともあるね。




この時間、たまに少し腰の曲がったばぁさんが通る。


ばぁさんが通る時は、しっこは我慢する。

みつからないように、 こちらが、いくら空を眺めようとしても、最初からばぁさんの視線は下の方を向いてる。


腰が曲がっているからな…。


しかし、ある日、ばぁさんが歩いて来るのを気付かずに、俺は 、 優雅に空を眺めながら立ちション…。


気づかずに、やっとばぁさんの姿が視線に入っても、溜りに溜まっていた俺のしっこは、無理矢理止めようとしても、俺の意思に反して流れ続ける。

何事もなく通りすぎてくれ…そう強く願った。


しかし、ばぁさんは俺の横で立ち止まった。




俺は心の中で、 マズイ、マズイな…なんて思っていると、ふいに、そのばぁさんは、俺のを覗き込み、いきなり、柏手を二回叩き…


「ひさびさに、えぇもん、みさせてもらった…。」


と、言いながら、にたり顔で立ち去る。


俺はまじまじと見られ、恥ずかしくて気が動転した。


そして、あまりにも慌てすぎて、つまんていた指に、しっこが、かかってしまった…。


ひとり残された俺は、手をビュンビュンふっても濡れている指を、どうしようか悩んだ…。


水道もないから洗えない…。


このままじゃ、俺のをしまい、ジッパーもあげられないじゃん…。


舐めちゃお~かな?


しかたなく ズボンで拭いて、ばぁさんに打ちのめされたまま、うな垂れ立ち去ったのだった…。


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