ただ一人の人間
とある洋館の庭にて、ただ黙々と刀を振っている少年がいた。
その少年が刀を振るう度に『シュッ』と綺麗な風切り音が聴こえる。
家には刀の風切り音だけが響き、少年こと止音はそんなのは当たり前だと言う様にただ黙々と真剣に刀を振るっていた。
風切り音しか鳴らないこの家には昔から止音しかいない、それが止音にとっての普通で当たり前なのだ。
だがしかし、いくら幼少期から刀を振り続け、常識に疎い止音とて自分の家が普通では無いのは自覚している。
母は止音の幼き頃に他界。
父はいつ自分がどうなっても良いようにと止音に喪神流を叩き込み、止音が中学の頃に他界した。
その後止音は伯父に引き取られたが伯父も他界。
いつからか念想居家の子息は呪われていると言う噂ができていた…
色々な言葉が投げられた…が、殆どの者は便乗して鬱憤を晴らしたいだけ、
ならば無視すれば終わると思っていた。
だが相手は言い返さないのをいい事に過ぎた行為を止音にしようとした。
罵詈雑言は当たり前、暴力、落書き、等々
これらよりもっと酷いのは家の資産や家を奪おうと言う者も居た
だが全員多少おはなしをすればすぐ納得して帰ってくれた。
小学生、他の奴らが楽し気に遊んでる時でさえも止音はずっと刀を振り続けた。
中学、高校生の時でさえも放課後すぐ帰り、刀と型の練習をした。
一時期スランプの時期もあったがそれでも振り続け、振り続け、振り続け…
人生の29年目が終わり30年目に入る瞬間、あたりが輝きだした。
止音はあたりが輝いても冷静で、目を背けずに開けていた、そして見た。
突如現れた裂け目、その横には人ならざる者が浮いており、裂け目の中にはゆがんだ空間が広がっている。
それらの全てががはっきりと見えた。
だが見えたのも束の間、気がつけばベッドの上に居た。
「…?どこだここは?と言うかなんだ、これは」
起きたらベッドの上、それもふかふかなベッドの上だった。
止音は寝具の種類は布団と枕しかないと思ってたのでベッドなんて物は生まれて初めて見たのである。
「なんだこれ、超フカフカ~(ほわほわ〜)」
ベッドのふかふかみを感じていると表情が自然と笑顔になり、何故ここにいるのかすら考えるのを辞めてしまいそうで。
「はっ!危ない、恐るべしふかふか、この私を誘おうとは…」
そして止音は全てふかふかのせいにして、この話を閉め周りを見渡す。
「さ〜て〜と?まずは剣があるな、刀とは勝手が違うが使えなくはない。
さてお次はっと、窓とドアに鍵は掛かっていない、っと。
誘拐と言う可能性は無さそうだな。
ならば、少し筋トレして剣振って寝るか!
一回感じた時からあのふかふかで寝てみかったのだよ~」
_________________4時間後_________________
筋トレが終わり剣も振るった。
「少し物足りんがもう明け方だ、あのふかふかで寝るとしよう」
そう呟いてベッドの上にて静かに眠る。
________朝________
「ふざけるなぁ!お前ら!この俺がウルスラグナ・ユニクロンだと知っての事か!」
朝起きたらそんな声が聞こえてきた。
『誰だ?』
と聞き返したが返答は帰ってこない。
仕方ないと思い周りを見てみると、何もないただただ真っ暗な世界が広がっていた、
だが真っ暗な世界の中、突如光る物が現れた。
それはTVみたいで、四角く、片面のみが光っていた。
その光っている側面を見ていると…
顔を真っ赤にした人間が写っていた。
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