(R15)おかーちゃんパーマ行ってくるさかい(スチャ)

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

第一章 おかーちゃんパーマ行ってくるさかい(スチャ)

第1話 エリートスパイオカン 拘束される 前編

「ユータァ。おかーちゃん今からパーマ行ってくるさかい」


 咥えていたゴムを指でつまんで、須藤すどう 可奈子かなこは髪をくくった。

 

「パーマって。美容院やろ?」


「一緒や。パーマやん」


「この間も行ったやん」


 赤本を手に、息子の裕太郎ゆうたろうが靴を履く。

  

「女の子はな、色々準備があるねんて」


「そんな短いスカート、穿かんとアカンのか?」

 

「あかんのよ。 息子なんておったら、オシャレなんてできへんもん。せや、冷蔵庫にチャーハンあるから、チンしーや」


「わかった。ほな図書館行くわ」


「きいつけてな」


 さてと、と可奈子は気を引き締める。


「行きました」


 スマホがあるのに、可奈子は家の黒電話で連絡を取った。


「今回のキミの任務だが、裏カジノの実態を暴くことだ」


 裏カジノを運営する、銀行と暴力団の関係を洗えとのこと。


 スタッフに変装して、重要参考人である銀行頭取のデータを奪ってこいという。


 いくらアラフォーに見えない身体だからといって、エッチな依頼ばかりだ。


 バッグに銃を隠して、大阪某所にある雑居ビルに。

 

「どうもー、あなたの心の友、干支にちなんでバニーちゃんでーす」


 支給された赤いバニースーツと黒タイツに着替えて、可奈子は潜入を開始する。

 店にあるものに変装できればよかったが、サイズがないのだ。

 B:84、W:56、H:88と、スタイルだけならゲームキャラと同じである。

 だが身長も168くらいあるので、バニースーツとなるとそれより小さい。


「おーおー。流行っとる流行っとる」


 雑居ビル地下にある裏カジノは、ライブハウスに化けて営業していた。

 表向きは単なる飲食店だが、ちょっと裏手に回ればカジノを営んでいる。


 なんてことのない任務だ。

 通り過ぎる度に、尻を撫でられるのをガマンすれば。

  

「さてさて、データ収集っといこか」


 こっそり店から抜け出し、金庫室へ。


「ちゅうちゅうたこかいな、と」


 電子ロックで施錠されている部屋をハッキングして、中へ。


「警備もザルやな。あとはデータをもろて……!?」


 データを手持ちの端末へ移動させていたときだ。

 突然、警報が鳴り出した。


「尻を撫でられたときに、気が付かなかったようだな?」


 入ってきた屈強そうな男に、銃を突きつけられる。

 

「しもた!」



 可奈子は捕まってしまった。


 四肢をベッドにくくりつけられている。


「もう逃げられんぞ。痛い目にあいたくなかったら、お前の所属を言え。身元を特定できる所持品はなにもなかった。これは強引に口を割らさねばならん。キレイな体のままでいたいだろう?」

 

「フン、言うかいな」


 任務中に死んだ夫の遺志を継いで、今の仕事についた。


 息子を大学に行かせるためにも、ここはしのぎきらねば。


「ならば、身体に聞くとするか」


 男はニヤリと笑い、筆を用意した。


「くすぐりごときで、ウチがしゃべると思ってんのか?」


「案外、くすぐりは拷問にもなっているのだぞ? それに、俺はくすぐるなんて言っていない」


 内ももに、筆が当たる。 


「んひい!」


 つー、と撫でられると、いいようもない快感がカナコを襲った。


「どうだ? 感度が何倍も膨れ上がる媚薬を塗られた気分は?」


「あ、アカン……、あっあっ」


 脳がフワッとなり、何も考えられなくなる。

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