暗黙の了解《我が家のルール》
たから聖
第1話 暗黙の了解《我が家のルール》
朝からバタバタと母は汗を流しながらも、タオルでその汗を拭う。
カレーの仕込みだ。
毎度我が家で給料日前に開催される、
《カレー大食い大会》の為に。
母親が給料日前までやり繰りしているが、
どうしても足りなくなる。だが
家族との絆や楽しみや語らいを
大切にしたい母親は
このエグい大会をまるで
サドの如く楽しんでいたのであった。
ぷぅーん……。
家中に漂うカレーの香り。
父親が言う。
『お?!またか?よっしゃ!今回も俺が賞金頂くとするかな?』
長男の
『いや、今回こそは俺がもらう』
次男も負けじと…
『若さで言うと俺だよなぁ〜』
いつも仲良しな家族だが、この日ばかりは敵対心がバリバリである。
お互い睨むかのように
賞金1万円の為に争いが繰り広げられるのであった。
母親は……休日を狙ってカレーを大きな大きな鍋にたっぷりと
作る。
巨人用かよ?!とツッコミを入れたくなるが💦
母の心の中に眠るサドスティック精神を楽しむ為に
いつしか勝手に開かれる様になり
今ではカレー大食い大会が
当たり前になっていた。
母の合図で始まる!
鍋の
カンカンカン!!とゴングが鳴る
父親を初め、兄弟二人も
出来たて激辛カレーを一心不乱に口いっぱいにかっこむのだった。
『かれ〜!激辛やべぇ(.;゚;:д:;゚;.)』
『ダジャレかよ?オメェ』
『あ!!オヤジの奴、生たまご反則じゃんか!!』
『お父さん!生たまごはダメよ』
『ぐぁぁぁ〜かれぇ〜!みずっ水っっ』
『っくしょ〜負けたくねぇ!』
カオスな場面を楽しむ母親。ドが付くほどにサドスティックバイオレンス!!!
母親は財布👛から1万円を出してヒラヒラさせ更にあおる母。
デッドヒートする俺ら3人!!
鍋に巨人並に作られた激辛カレーは…あっという間に
消えていった!!!
勝敗は如何に?!
『やったぁぁぁぁ!!!!俺が買ったーーー!!』
と8杯激辛カレーを食べた次男がガッツポーズをしながらも、
余裕を噛ましていた。その時!
9杯目の父親が辛そうな顔をしながらも、父の威厳を保とうと必死で食らいつく!
『時間がねぇ!!!やべぇ』
長男は8杯目を食べている所だ。
父が勝つか??
次男の逃げ切りか?!
母が実況を入れながらも更にヒートアップする。
《こちら実況席!!お父さんが苦しそうです。ギャハハ。そこに次男が食い下がる!長男どうした?!それでも男か?食べろ…食べろ!激辛に呑まれるな!食べ尽くすんだ!おっと!?ここで次男がまたスプーンを手にした!!行くか?行くか?》
男達3人は……
こうして毎月毎月、賞金1万円の為に苦悩なる戦いを繰り広げるのであった。
勝者!!
『逃げ切ったーーー!!次男の拓郎が勝利ーーー!!!』
ナベのフタとたましゃもで
母親はゴングを鳴らした!!
カンカンカン!!!
『はぁい♥️終了〜!!!!』
激辛カレーの威力は半端なかった
3人ともやつれ気味であるのだが
そうまでして、手に入れたい
1万円の賞金は何に使われるかと言うと……。
サドスティックバイオレンスな
母親の変態度を満足させる為に
《バイオハザード》
を買うことが決められていたのである。何故?バイオハザード?
スリルがたまんねぇだとよ。
ちーん。
そして……来月も
激辛カレーの大会は賞金1万円の為に繰り広げられるのであった。
終
暗黙の了解《我が家のルール》 たから聖 @08061012
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