短歌集2022

籔田 枕

2022

#haiku


神鳴りの驚くべきもの続々と


#tanka


お断り、盛者必衰のことわり、諸行無常お前は終わり。


付き合ってくださいあなたの5と0と0とを繋ぐ線が好きです


哀悼も大変いつもモノクロの服を着ていなくっちゃいけない


ほんのりと光って見えるありふれた机もきみが使うと思えば


ゆっくりとスーパーボール回してさあれもまさしく天体だった


五七五七七をわざとさけているわたしはbotではありません


執筆は自殺に似てる「だれにでも書ける」そんならやってみたまえ


そうめんと冷やし中華は永遠のライバル今日も私を悩ます


ごめんねの代わりに明後日を向く癖やめてよって言えない癖


おもかげを追えば追うほどむなしくてあなたのせいだわたしのせいだ


本当にアットホームな職場ですありがとうございました死ねよ


フレイルの先にあなたをくくりつけブンブンしたいそんな恋です


赤とんぼわかるいい顔してるだろマイカーあんた乗っていくかい


失ったつもりはないが虚しくて生命線をぢっと眺める


不純でも動機は動機芥川お願い僕を「偉い子」にして


左手にジュージャカルチャーセンターを右手に盾を今来たところ


今までにつくった少しへんてこな歌を集めてウキッとする朝


富士山で復唱したる「こごしい」の"岩がごつごつ険しいさま"を


花のまじる河童の血のにおい米津玄師のアルバム欲しい


暇な時モーパッサンとチェスしたいアンパッサンしてニヤニヤしたい


地表なら水没しました大様に微笑しながら3005年


本当のところ皮肉も冷笑もスウェデンボルグの哲学のため


熟年のように慾にも渇かずに、若者のように色にも溺れぬ


守り手の隙はないプロレタリアの象徴として輝けマック


タイセツな予定を蹴って読む文字が捗る滑る捗る滑る


ちょっとだけイラッとするようなことが積もりつもって顔も見たくない


しゃくぜんとしないままぼくらは仲直りごめんねいいよこちらこそごめん


煮えきらない緑青色ろくしょういろをどこまでもひろげる海と薄紅の鯛


#歴史的仮名遣い短歌


心臓をいつ刺されてもよいやうに白雪姫のごとねむりたり


世は無情粘菌さへも迷路を解くに

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短歌集2022 籔田 枕 @YabutaMakura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ