第1話 悲劇は突然に
深夜、自室で目を覚ます。
また同じ夢を見ていた。
十四年前、私は両親を失った。その時の夢を二十歳になった今でもまだ、見るときがある。
どこからか聞こえる悲痛な叫び声や泣き声。私を守るように覆いかぶさっている冷たくなった
両親。今でも鮮明に覚えている。
早く寝ないと。そう思い、私は無理矢理に目を閉じ意識を手放した。
アラームの音で目を覚ます。私はパンを齧り、家を出た。
電車に揺られながら私は、ニュースを確認した。
「渋谷区でNC被害が相次ぐ」
またか。十四年前のあの日から、東京都ではNCの被害が毎日といっていいほど起きていた。
被害者は年間約1000人ほど。被害総額は1000万を優に超えている。
「おはよう。紗枝」
振り返ると惠利がいた。会社の同僚だ。
「おはよう」
私は挨拶を返し、スマホの画面を閉じた。
二人で雑談しているうちに会社についた。私たちの会社は、遺伝子を扱う小さな会社だ。
上司にあいさつをし、デスクにつく。私は、デスクの上に積まれた書類を手に取った。
しばらくすると同僚の一人が何か慌てた様子で窓の外を指をさし、
「おい、あれ見ろよ」
と大きな声を出した。
言われるがままに窓の外を見てみると、空中に浮かぶ「亀裂」のようなものがあった。
なんだよ、あれ。全長5Mほどに見えるその「亀裂」はどんどん広がっていた。
突然「亀裂」が崩れ中から鋭い光があふれだした。まぶしい。
光が収まったと思うとそれは突然現れた。NCだ。
あの日に君は。 @makimu
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