第19話 To the birdcage

翌日

「出来ねぇ」

刀に光をまとわせるだけでこれだけ難しいとは

うまくいった時は光の加減で切れたり切れなかったりする

光の力によって刀が切れなくなる

もはや現象というより魔法の類だ

ステラさんの惑星魔術に比べるとまだ現実味があるけどな

「楽郎くん

修行ばかりじゃ疲れるだろ

少し外に出ないか?」

「はい 煮詰まってたのでありがたいです」

俺はライゼンさんと一緒に街を歩く

「そういえばステラさんは?」

「今頃アリスラさんと魔鉱石の買付けかな

ルクルスにしかない魔鉱石があるからね」

「魔鉱石って

鉄鉱石みたいな?」

「あぁ そうだったね

魔具に使う術式を記録できる特殊な鉱石だよ」

「この刀も」

「前に見せてもらったが

それは柄の部分に埋め込んであるね

刀身はほぼ鉄のようだが」

「そういえばこの街は古代魔術が多いですよね」

街をこうして歩いてみると改めて古代魔術が散りばめられている

魔具が少ない

「あぁ この地は元々古代魔術が使える貴族が各地から逃げてできた街だからね」

「なるほど だから」

「一筋縄ではいかない人が多いだろう

ステラも含めて」

「ステラさんはそこがいいんですよ」

「..君みたいな男ができるとは思わなかったな」


一方 街の北東 商業区

アリスラとステラは鉱石自体を扱う店を次々と回っていたが

「全然見つからない!」

「でしょうね

加工前の鉱石なんて普通扱わないでしょ

あ こっち近道よ」

アリスラとステラが裏通りへと入る

「職人街の方が良かったんじゃない

少し分けてもらうぐらいなら」

「ふぅん

おばさん達何してるの?」

「誰?」

「星崩しのステラ

ここがあんたの墓場だよ」

男は魔具を取り出すと同時に

物陰に隠れていた男達が一斉に魔具を掲げる

「しまっ いつの間に!?」

ステラとアリスラを透明な結界が取り囲む

「先の街ではよくも邪魔してくれたな

だが これで終わりだ」

「こんなもの」

ステラが惑星魔術を発動する

パァンッ

次の瞬間に発生した魔素が霧散する

「何っ!!」

「フハハハ!!!

これぞ魔術師殺し

あらゆる魔術を発動前に検知して

魔素を乱す

さらには」

「ぐぅっ」

アリスラが地面に倒れ込む

「分かるか

貴様らの魔素は常に吸われ続けこの結界の維持に使用される

くくっ

これだけの術式だ

大変だったぞ

だがあと数時間で貴様らの魔素を吸い尽くす」

「パイセン マジすかこれ数時間維持するんです?」

「う うるさい!!

この職人っぽいおばさんは知らんが

金髪の方は懸賞金1000金貨だぞ!!」

「!? どういうこと」

「貴様らに教えるわけがないだろう

だが派手にやりすぎたようだな」

「パイセン 山分けっすか?」

「そうだよ

15人だから1人頭66金貨

お前らごろつきにとっちゃ大した金額だろ」

「へへへ そういうことなら」

ステラとアリスラが素手とハンマーで結界を叩く

「無駄だ 我がウェリストン家に伝わる最高の結界に

魔術吸収の超古代術式を加えた最高傑作!」

「説明ご苦労ね

その顔を5発ハンマーで殴ってやりたい気分よ」

ドッ ブゥン

アリスラがハンマーを結界に叩きつける

だが衝撃はすべて結界に吸収される

「くっ」

アリスラがふらつき地面に膝をつく

「大丈夫じゃなさそうね」

「ステラと違って化け物魔素はないのよ」

ステラとアリスラは徐々に体力と魔素を削られていく

それに反して透明な結界の部分が分厚くなっていった

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