失った少年 大切を守るために

パム

第1話 始まりの最悪

今日は8月9日。

15歳となる僕の誕生日だ。

セミの鳴き声と、眩しい朝日と、少しの腐敗臭で目が覚める。

自分は一人部屋でドアが閉まっているせいか変な臭いがすることしか分からなかった。

昨日は誕生日が楽しみで中々眠れなかったせいか、時計を見ると昼過ぎという遅めの時間に起きてしまったみたいだ。

その目覚めが最悪の始まりだと知らずに。


いつも騒がしい家族の声が一切聞こえないことに僕は、違和感を覚える。

寝起きは体が怠いがドアを開け階段を降りながらリビングに向かう。

それと同時に嫌な匂いが強まっていく。

何が嫌な気がするがリビングの扉を開きその光景に絶句する。


壁や床1面に赤い血が飛び散り家具が散乱している。

それと同時に見覚えのある2つの頭とその体と思えるもの。

更にはその臓器と思われるものが散乱している。

ドッキリかと考えたが腐敗臭がその考えを否定する。


そのショッキングな光景を見た僕は膝から崩れ落ちとてつもない吐き気に襲われる。



しばらく吐いてから妹の鈴音がいないことに気づいた。

そこには鈴音と思われる体の一部は無く無事かもしれないという希望を持ち家の中を駆け回る。

リビング、風呂場、トイレそして最後に二階の鈴音の部屋を見る。

そこには何が起きているか知らないと思う鈴音が寝ていた。


安堵の気持ちと同時にへたり込んでしまった。

その物音を聞いてか中1になる鈴音が起きこちらを睨んでくる。

すると鈴音は

「なんで兄さんがこの部屋にいるの。入らないでって言ってるよね。ってかなんか汚いよ。」

と呑気に携帯を触りながら文句を言ってくる。

俺は

「仕方ないだろ。父さんと母さんが死んでるんだから。」

と少しキレ気味に答えた。

すると鈴音は携帯を手元から落とし

「は?」

とアホ面でどこか混乱した様子で

「どういうこと?」

と聞いてくるのであった。


俺は一度深呼吸をして

「リビングを見ればわかるはずだ。」

と言うと鈴音は俺を押し退け走っていった。


そして階段を降りた音がしたあとその光景を見たのだろう。オエッと吐いている声がする。

そして俺は警察に電話をするのであった。

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