第209話 蠢く闇


 「その他には、一部の過激な行動者に関しての情報だと、スペースオペラがお世話になった串カツ屋『バッチ恋』さんや城東君の妹さんがお世話になっている病院などにまで、押し掛けるような人達も居るようだから、みんなも気を付けて欲しい!」


 「・・・チッ」


 「私の元職場にも現れたらしいわよぉ!まぁ、従業員のみんなからしたら、金払いの良いカモに見えたらしいけどねぇ!」


 「ど、どちらも城東さんに大きく関わっている事ですから、不機嫌になってしまうのもしょうがないと思います!!」


 未だ、正面入り口に殺到している報道者や暴動者達の中には、このままスペースオペラに押し掛けても意味が無いと判断すると、俺達に直接関係がある店舗や施設に標的を切り替える奴等も存在する為、出来る限り多方面への被害は減らし、スペースオペラ内で問題を解決したい現状、早く解決したい事案だった。

 俺の場合、前住んでいたアパートに押し掛けて来た奴が居るらしく、近隣住民から苦情が挙がっていると大家さんから連絡を貰った時は、。


 「チッ、世話になってる所にしわ寄せが行ってんのもムカつくんだけどよぉ、一番ムカつくのが、迷惑かけてる奴等の後ろで高見の見物をしてる野郎が居るってことだろ!!!」


 「見境ない攻撃のせいで、不幸になる人が居るのは悲しいですね・・・。」


 「そろそろ、外野が落ち着いて来てもおかしくないわよね?ふーん、ここまで大事にしておいて得する人は居るのかしら?」


 「利益目的なのか、愉快犯なのか分からへんよな!一部では、正義感で犯罪を犯すブラックハッカーと、欲望のままに犯罪を犯すブラックハッカーとで争いがあるっちゅう話も出てるけん、面倒な奴等やで!!」


 掲示板を中心として、『ブラックハッカー一人一人によって、犯行思想が違うからこそ、前回と今回の被害規模が異なっている』と言う意見や、『ブラックハッカーと言う組織は上下関係が厳しく、仲間内でも身分を明かさない為、芋づる式に捕まえることは難しい』のような、詳細情報が飛び交っているらしい。

 現在、社内のスタッフの中で手が空いている人達は、この掲示板の情報を中心とした、怪しい記事を集めている。


 

 重苦しい雰囲気が続く中、一人の男性スタッフさんが慌ただしい様子で駈け込んで来た。

 その手には、雑誌らしき物が握られている。


 「しゃ、社長!!これを見てください!!例の週刊誌が動き出しましたっ!!!」


 「本当か!よしっよしっ!!」


何の話か分からない俺達は、その様子を眺める事しか出来なかった。


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