第208話 熟睡と同盟

六階 会議室


 三期生との顔合わせから四日が経ち、真田さんを中心とした巡回警備隊によって、一日に最低一人訪れる侵入者を、安全に確保することが出来ている。

 まぁ、三期生が巡回を始めて初日に現れた侵入者の叫び声が響く中、熟睡していた俺と腹一さんは、少し居心地が悪く感じている部分もあるのだが、しょうがないと思う事にしている。

 翌朝になって、スマホに送られて来た大量のメッセージを見た時、何かやらかしていしまったのかと、二人は滅茶苦茶焦った。

 二日目からは、真田さんからの情報で、捕まえた侵入者が既に何度かスペースオペラに入り込んでいた事が発覚したことによる、侵入ルートの虱潰しと厳重警備が行われ、女性陣は安心した生活が出来ているようだ。



 「今日までに逮捕されたブラックハッカーと、その関係者の総数は約50人。その大半が、ブラックハッカーに憧れを抱いている者やお金欲しさに活動していた者だったらしい!ここまでは良いかな?」


 緊急会議と銘打って呼ばれた俺達ライバーは、この事態の現況であるブラックハッカーに関する、最新の情報を高太郎さん直々に報告を受けていた。

 そう、ブラックハッカーのターゲットには、まだデビュー配信も行っていないライバーも含まれているのだ。

 現在も、ブラックハッカーによって、俺達の過去を好き勝手インターネット上にばらまかれている中、一人目の侵入者を捕まえた翌日には、三期生の個人情報等が既にばら撒かれてしまった後で、対応が間に合っていない状態へと追い込まれている。


 「ちょっと良いか?そもそも、ブラックハッカーに所属する構成員の人数とか足取りは、まだ分かってねぇのか?そもそも、お金欲しさに押し掛けて来て犯罪を犯してんだろ?だったら、お金が支払われてる裏を辿れば、何か掴めるんじゃねぇのかよ!俺には、人の過去を暴いて自己満足しているような奴等に、金が払えるとは思えねぇんだがな!!」


 「私も、同意見だ!ただ、こちらで調べてみたところ、特に、怪しいお金の動きや団体の影は見えず、困っているところだよ。本当、何処のが裏を引いているのか、そのは、奈落君にあると思うのだが、何かピンと来るものは無いかね?まぁ、私の思い違いかもしれないから、そこまで気にするような事では無いだろうし、安心してくれ!」


 「えっ、俺ですか?いやー、特にそういう感じは無いですね。もしかしたら、忘れているだけかもしれませんけど。何か思い出した時には、報告します。」


 城東さんが悔しそうな表情で座り込むのを見ながら、突然俺に振られて来たことに心臓がバクバク音を立てている。

 それにしても、俺がカギになるってどう言う事だ?もしそうなら、俺のせいで他のライバーが被害を受けていたりするのか?

 高太郎さんの思い違いであって欲しいが、自問自答している内にどんどん不安が積み重なって来るが、会議はまだ始まったばかりだ。




 

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