第181話 勇者城東 村人A奈落 ①

午後3時


 「奈落の底からこんばんは。どうも鬼道 奈落と、」


 「喧嘩 城東だ!おはよう!!」


 「えー、今日は、城東さんと一緒にRPGゲーム『レルベアクエストⅪ』をやって行きたいと思います。」


 〈コラボだコラボだ!!〉

 〈城東、お前ゲームやるんか!〉

 〈『このコメントは削除されました』〉

 〈こんならく~〉

 〈こんならく~〉

 〈RPGゲームとか珍しいな!!〉

 〈このゲーム、面白いの?〉

 〈城東wwwww〉

 〈おはよう!www〉

 〈午後三時だぞ?〉


 流れるコメント欄を見ながら、手元のコントローラーを操作する。

 『レルベアクエスト』とは、主人公が勇者だったり、序盤にスライムが出てきたりする、有名な王道RPGゲームであり、約40年以上も続く歴史ある最高のゲームだ。

 今回、俺達がプレイする『レルベアクエストⅪ』は、この間、レルベアクエストシリーズの最新作として発売されたばかりらしく、口コミによると、歴代作初のマルチプレイ対象を取り入れた、神ゲーと言われているようだった。


 「えーと、取り敢えず『マルチプレイ』を選択して、『番長』を招待っと。」


 「そう言えば、奈落はどの職業を選んだんだ?」


 「俺は一応、『寺息子』を選びましたね。この職業、体力の回復とステータスの成長率が、結構良いらしいので。」


 『レルベアクエストⅪ』のマルチプレイは、自分が作成したオリジナルキャラに対し、歴代シリーズに登場したお馴染みの、『戦士』『格闘家』『踊り子』等、計300種類を超える職業の中から一つを選んで遊びことが出来る。


 俺が今回選んだ職業は、『寺息子』。

 王道ファンタジーゲームとは思えない職業だが、このゲームに存在する『ネタ職業』の中では、中々に扱いやすい職業だと書かれていたし、城東さんがどの職業を選ぶのか分からなかったから、回復が出来る平均的な職業は魅力的だった。


 「お前、安定志向過ぎるだろ!ちなみに俺は、『ツッパリ』を選んだぜ!」


 「『ツッパリ』ですか?確か、似たような職業だと『チンピラ』『ヤクザ』『三代目』『マフィア』とか色々ありましたけど、何故ですか?」


 「あ?そんなの、根性が無きゃ、何選んでも無駄だからだろ?ツッパって行こうぜ!ツッパって!!」


 〈あれ?そう言うゲームだっけ?〉

 〈流石に勇者は選ばないよな!www〉

 〈根性論⁉〉

 〈ネタ職業しか選ばんやん!!!www〉

 〈地雷職wwww〉

 〈何でこのゲーム人気なの?ww〉

 〈大統領最強!!!大統領最強!!!〉

 〈職業ニートから成り上がる異世界転生!!〉

 〈職業お笑い芸人とか、ファンタジー世界に要らないよな?www〉

 〈スライム倒せるかな?ww〉


 『ツッパリ』

 序盤の所持スキルは【根性】のみ。

 【根性】

 敵からの攻撃でHPが0になる時、1残る。


 城東さんのキャラクターステータスを見ると、基礎ステータスはどれも貧弱な中で一際目立っているのは、力のパラメータだった。

 どうやら、自由に振り分けられるステータスポイント、10ポイントすべてを力に割り振ったらしい。

 下手すると一撃で死んでしまう紙装甲を、根性で耐え殴る。一撃必殺の陣。


 これ、回復を覚えた意味あるのか?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る