人生詰んだ気がしたので、VTuberになってみた。

第176話 恥エピソード

午後8時

　あの後、エストランネさんと母美津さんの会話が、思っていたよりも盛り上がってしまったようで、俺は高太郎さんに、昨日の配信を観て感じた懸念点を軽く話した後、そそくさと社長室から逃げ出した。

　いや、部屋の端っこで見てるよりは良いだろ？なんか気まずかったしな。

　「と言う訳で、今日の配信は『視聴者の密かな恥ずかしエピソード』を募集したので、適当に流していきたいと思います。それじゃあ、トップを飾るのはこちら『お前のチャンネルと登録してしまったこと！』らしいです。この人、こんなことを言っておきながら、俺のGETafterはちゃんとチェックしているようですね。ツンデレ？」

　〈おう、急にどうした？〉

　〈あれって、配信でやる奴だったの⁉〉

　〈はぁ⁉そんなの聞いてねえぞ！おい！俺の奴は紹介すんなよ！！〉

　〈どれくらい集まったんだ？〉

　〈いや、一番最初の文に小さく書いてあるやん！見て無い奴が悪い！〉

　〈ツンデレｗｗｗｗｗ〉

　〈草〉

　〈最初に紹介するの、それで良いんか？ｗｗ〉

　〈『このコメントは削除されました』〉

　「ちなみに、募集によって集まった数は28通で、その内、先程のように批判的なものが10通だった為、残りの18通はこの配信でしっかりと紹介させて貰いますよ？もし、今観ている人の中で撤回したい人が居るなら、GETafterのアカウント名を教えて頂ければ、場外させて頂きますね？」

　そう俺が説明すると、『梅昆布です、撤回をお願いします』『サバの味噌煮です、撤回をお願いしたいです』と、二つのコメントが見えたが、他には居ないようだった。

　「えー、見た感じだと、他には居ないようですね。それじゃあ、二つ目に参りましょう。えーと、こちらですね。『出会い系アプリのプロフィール写真を家族に見られたこと。あー、確かにキツイですね。」

　〈リアル過ぎるｗｗｗｗ〉

　〈おい！勝手に発表するな！！さっさと『マナト』でアカウントを探して消してくれ！！！〉

　〈本人居て草〉

　〈ｗｗｗｗｗｗｗ〉

　〈卒アル見られるのもキツイよな！〉

　〈マナト君かｗｗｗｗｗｗ〉

　〈ドンマイドンマイｗｗｗｗ〉

　俺は慌ててGETafterを開き、コメントに書かれていた『マナト』のアカウントを検索するが、『マナト』と言うアカウント名が数えきれないぐらい並んでいた。

　「今、『マナト』で検索を掛けたんですけど、どれですかね？一応、一番下まで見た感じだと、『マナト』に『★』とか『♡』を付けたものしか見つからないんですけど。」

　〈一番上のアカウントだ！！！良いから、早く消せ！！！〉

　ここまで慌てている理由が少し気になり、何となく残りのエピソードを見てみると、半分以上が『マナト』が書いた物だったと気づいた。

　「一番上ですね？えーと、『ママ活系男子マナト@ママさん募集中♡♡♡』さんで合ってますか？他にも似たようなアカウントがいくつかあって、判断出来ないんですけど。」

　コメント欄を見ながら、コメント欄の本人に確認を取ってみたのだが、反応が無くなってしまった。

　〈あっ〉

　〈あ・・・・〉

　〈ママ活ｗｗｗｗｗ〉

　〈とどめ刺したｗｗｗｗｗｗ〉

　〈草〉

　〈あちゃーーーーーｗｗｗｗｗ〉

　〈ナイスｗｗｗｗ〉

　〈『このコメントは削除されました』〉

　〈『このコメントは削除されました』〉

　〈『このコメントは削除されました』〉

　〈OMGｗｗｗｗｗ〉

　〈人生終わった？ｗｗｗ〉

　「あれ？もしかして、何かやらかしたか？」