第121話 苦労人達の日常(高太郎視点)
午後1時
「社長!今度は迷惑メールが殺到して、大変なことになってるんですけど!!」
「社長!!警備員から不審者の発見情報がありました!どうします?」
「社長!!!いくつかの会社から、この間の城東さんの配信に苦情が来てます!!こちらから折り返しの連絡をお願いします!!!」
「社長・・・・・!」「社長・・・・・!」「社長・・・・!!」
ひっきりなしに届く仕事を片付けながら、所属ライバーが順調に配信出来ていることに、安心感を抱く。それと同時に、従業員不足が改めて目立ち始めた為、もう一度、事務処理が出来る人を募集しなければならない。
現在、事務連絡を受けている従業員の中には元々、エンジニアとして雇った人物も混ざっているからか、事務処理に慣れていない。だからこそ、何か問題が起きたら自分の方に回して貰うようにはしているのだが、流石に一人で対処するには限界がある。
「まぁ、順調に『スペースオペラ』が世間へと認知されるようになりましたから、上々ですかね。」
数多くのVtuber企業や個人勢Vtuberが居る中で生き残るには、デビューから一週間以内に印象を残すことが大事だと私は考えている。
今回の場合、ギトラさん以外は元々、悪い意味で印象を集めていたからこそ、デビュー配信から視聴者が集まったが、こんなことは普通ならあり得ない。そして、デビュー配信から一発目、過激な配信又は他所属のライバーなら出来ないようなこと、例えば『世間への愚痴や問題提示』『Vtuberとしてタブーとしてなりえる行動』を進んで行って貰うことで、さらに強い印象を与えることが出来ただろう。
「まさか、世間に顔写真が晒されたからといって、顔以外を配信で公開するとか、企業勢Vtuberのすることじゃないんですけどね。」
苦笑しながらもその目には、楽しそうな雰囲気が伺える。
実際、炎上した人を集めて起業するという行動を起こした時点で、一筋縄でいかないことは予想していた。それどころか、まだ生易しいものだとも考えている。
彼、彼女らが世間から受けた攻撃と比べればなんて事は無い。もっと自分達を見せていけ!と。
「さて、来月には新しいライバーをデビューさせたいですから、早めに交渉しないとですね。ふふっ、面白くなってきました!!」
一期生がデビューするまでの準備期間、私はとても楽しかった。
これから起こるトラブルを考えたり、自分の会社を持つことが出来ると言う興奮が収まらなかったり、最高だった。それでも、今の忙しい状況の方がもっと楽しいと感じることが出来ている現在に、とても感謝している。
「問題児が問題を起こしたところで、それが当たり前だと言える会社に。」
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