第58話 狂ってる

午後7時


 「奈落の底からこんばんは!どうも鬼道 奈落です!今日も雑談配信をやっていきたいと思います!!」


 〈早くOね〉

 〈VTuber辞めろ〉

 〈普通に挨拶しててヤバw〉

 〈キモい〉

 〈鬼堕俊隆Oね鬼堕俊隆Oね鬼堕俊隆Oね鬼堕俊隆Oね鬼堕俊隆Oね鬼堕俊隆Oね鬼堕俊隆Oね鬼堕俊隆Oね鬼堕俊隆Oね鬼堕俊隆Oね〉

 〈コメント欄終わってる〉

 〈人Oし!〉

 〈犯罪者〉

 〈他のVTuberに迷惑だから辞めて!!〉

 〈人間のクズが!!〉

 〈犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者〉

 〈人生終了のお知らせ〉


 などなど、俗に言う『お気持ちコメント』が大量に流れている。しかも、同接数は10万人と、現在のチャンネル登録者7万5000人を超えている。てか、人間のクズはどっちだよww


 「はいはい,ちょっと落ち着いて。炎上の件についても話すから、少しの間。」


 自分でも驚くほど低い声が出た。コメント欄の奴らも、普段とは雰囲気が違う俺に違和感を感じたみたいだが、コメント欄のスピードは止まらない。それどころか、少し早くなった気がする。


 〈なんかいつもと違うなw〉

 〈イキってる?www〉

 〈炎上が怖いんだろww手遅れだけどw〉

 〈犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者犯罪者〉

 〈まずは謝罪しろよ〉

 〈ごめんなさいも言えないのか?wwww〉

 〈社会不適合者だからなwww〉

 〈人殺しを社会不適合者と一緒にするのは失礼だぞ?wwww〉

 〈もしかして、キレてない?www〉

 〈無能警察無能警察無能警察無能警察〉

 〈通ってた学校特定されてるじゃんww〉


 不快なコメントを他所に、今回の件について話し始める。


 「まず、今回話題になっている『人を殺したかどうか』については事実です。ただ、ちゃんと記事の内容も読まず、馬鹿みたいに騒いでいるお前らのような奴らの意見は聞きません。無駄なので。」


 〈は?ww〉

 〈人殺しの意見は聞きませんwww〉

 〈犯罪者に人権は無い〉

 〈早くOね早くOね早くOね早くOね〉

 〈ブラックハッカーは正義!!!!!!!!!〉

 〈何だ何だ?〉

 〈ちゃんと記事読んでから来いよww〉

 〈じゃあ、正当防衛だからって人を殺しても良いんですか?〉

 〈OねOねOねOねOねOねOねOね〉


 「そもそも、お前らには関係の無い話なんだよ。プライベートな部分にまで踏み込んで来るな。後、コメント欄の『正当防衛だから人を殺しても良いのか?』って質問だけど、俺はYesだね。自分が殺されるかもしれないのに、相手に対して手加減できるような一般人が、当たり前のように居る訳無いだろ。馬鹿なのか?それに、『人を殺してはいけない』なんて言うルールを作ったのは、人間のエゴだ。お前ら、外国の紛争地域やアマゾンとかについて調べたり、実際に行ってみたりしたら?弱肉強食がはっきりと目に見えるから。」


 〈かっこつけ?wwww〉

 〈可哀そうにwww頭が可笑しくなったのかな?www〉

 〈日本は関係無くね?www〉

 〈日本のルールに従え〉

 〈実際、裁判にまで持ち込まれてたのにwwww〉

 〈相手の親御さんに謝罪はしないのか?〉

 〈ニュースで見たけど、お前の方が悪いだろww〉

 〈名前からして悪そうだもんなwww〉

 〈顔写真も流出してて草www〉


 「もう、これくらいで今日は良いかな。そうだ、配信開始してからずっと、スパムとか害悪コメントを消してた人達ありがとう。流石に多すぎて全部は対処出来なかったみたいだけど、本当にありがとう。」


 そう感謝の気持ちを伝えた後、配信を閉じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る