第50話 Ⅴ最強大会 決勝戦終了


 試合開始から1時間が経った。

 チームB対チームCの試合は9対6でチームBが有利な状況だ。

 チームCからすると、そろそろ流れを変えたい場面で、荒野さんが魅せた。

 2回戦でもやったように、単独で相手の懐まで突っ込み、壁抜きして相手を倒したり、上にグレネードを投げ、着弾地点に居た敵二人を倒したり(空爆)など、序盤の沼っていたプレイを感じさせないほどの動きを見せた結果、9対10まで逆転することが出来た。


 「荒野さん、ピンチの場面になると強いですね!!毎回毎回、綺麗に空爆とか壁抜きを決めてますから!!」


 〈荒野って人、上手いの?〉

 〈確かに!!〉

 〈チームCマジで強い!!!〉

 〈また流れを引き戻したな〉

 〈荒野自身、そんなにvoltexをやってないはず〉

 〈あまり経験が無くてもこれか!〉

 〈他のゲームでも、まぁまぁ良い成績を叩きだしてるからな〉

 〈何であんなにも敵の位置を把握できるんだろうね?〉

 〈敵の位置把握えぐい時あるよな!〉

 〈時々、変な方向に移転移動しちゃうこともあるけどwww〉

 〈マウスの扱いに慣れて無かったり、マウス感度を変えたばかりで、上手く使いこなせなかったりするけどなwww〉


 少しの間コメント欄とやり取りをしていると、本配信が盛り上がった。どうやらチームCがマッチポイントになったらしい。本配信の試合画面に視線を向けると、10対12になっている。次のラウンドは、チームCが攻撃、チームBが防衛だ。

 コメント欄に流れた長文の文章を読むと、今までの試合成績を見ると、チームCは攻撃特化型のチームらしい。要はチームBは絶対絶命のピンチと言うことだ。

 ラウンドが開始すると、チームCの面々は一斉にバラバラになったが、鏡音姉妹だけは二人で動くらしい。

 本配信の情報によると、チームCの作戦は、『自己判断に任せる』になったそうだ。これには本配信の解説者もびっくりしている。まぁ、この作戦は個人個人の練度が高く無ければ出来ない作戦だろう。実際、今回出場したチームでこの作戦を決行出来るチームは、ごくわずかだ。ただ、普段から他のプレイヤーとあまり関わらずにvoltexをプレイしているプレイヤーが多いこのチームなら、普段通りのプレイが発揮されやすいと考えたようだ。

 結果、ウルーカさん一人で2キル、鏡音姉妹で1キル、他のメンバーもそれぞれが1キルを取ってラウンドを獲得した。

 最終ラウンド、周りのメンバーが次々にキルを獲得していった為、『自分も1キルぐらいは取らないといけない』と言う焦りがあったのか、荒野さんがマップを駆け回るという場面もあって面白かった。コメント欄では『戦場を駆ける荒野』略して『戦荒せんこう』のあだ名が付いたらしい。多分、不名誉なあだ名だろう。意味は調べないでおく。


 その後、チームB対チームEの試合は、16対14でチームBが勝利した。

 この試合では、ターザン・イロマスさんがMVPと賞賛されるほど活躍し、一人で42キルもの功績を上げた。

 次の試合、チームC対チームEの試合は13対7でチームCの勝利。よって、Ⅴ最強大会の優勝者はチームCとなった。

 もしこの試合でチームEが勝利していた場合、キル数によってはチームBの勝利もあり得た為、最後の最後までチームBはチームEを応援していた。だが、予想外にも荒野さんがチーム内でのキル数を、ウルーカさんに続いて二番目だった事もあり、調子が良かったチームCの勢いを抑えきれないまま、試合は終了した。



 「次は閉会式ですね!確か好成績のチームには景品がありましたよね?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る