第12話 人気

 途中、和葉さんオタクの説明が入ったが、そんな人と一緒に配信出来ていることが嬉しい。

 

 「そういえば、和葉さんの3DLive観ましたよ!めちゃくちゃ良かったです!特にラップの部分!」


 「あー、有難うございます!てか、恥ずかしいっす!」


 「ユリも観ましたよぉ!衣装とても綺麗でした!」


 「ユリさんも有難うございます!あの衣装、自分も結構気に入ってるんすよね‼」



 等々、最近の出来事を話していると、ゲームでは12対11の大詰めとなった。


 「ユリさん、最初ここに壁貰ってもいいっすか?」


 「はいぃ、分かりましたぁ!2回送りますね?」


 「こっちに3人いますね。」


 マッチポイントになった為、ゲームに集中する。

 最初に味方2人がやられ、次に俺が敵2人を倒した後やられた。その後、味方の1人がスナイパーで抜かれ、ユリさんは敵1人と相打ちした。

 人数は1人対3人となった。一目見ると絶望的に見えるだろう。

 実際、ユリさんのコメント欄でも同じ意見らしい。


 〈これはきついな〉

 〈後1人多く落とせればな〉

 〈味方しっかりw〉

 〈ユリちゃん!相打ちナイス‼〉

 〈きつすぎる〉

 〈無理だろ〉


まぁ、普通の意見だよな。ただ、和葉さんのことを知っているならば、こうなる。


 〈ワンチャン決めてくるかもな〉

 〈背水の陣〉

 〈逆境吸血鬼来たー!〉

 〈ここからが注目〉


 うちの視聴者のほとんどが和葉さんのことを知っている。いや、普段から配信で俺が、和葉さんのvoltexについてよく話しているせいかもしれないが。


 和葉さんはOOさんじでも上位のゲーマーだ。よくプロゲーマーの人達と一緒にゲームをやっている。voltexのイベントや大会などにも、よく呼ばれることがあり、毎回、神プレーや珍プレーを見せている。実況解説席でも人気があり、和葉さんがゲームをプレイする上で特徴的なのは、頭の回転の速さからくる、意外性のあるプレイだ。

 意外性のあるプレイとは、常識的に考えると『出来ない』『やるわけが無い』といったもののことで、和葉さんは特にこの部分がひいでている。

 事実、予想に無い動きをすることで、チームを勝利に導いたことが何回もある。時には裏目に出てしまい、トロール(戦犯。やらかしてしまう事。)も多くあるが、だからこそ人気があるのだろう。実際観ていて、マジで面白い。


 和葉さんは爆弾を設置した後、敵にフラッシュを打った後、1人を倒し、キャラクターの能力で、自分の居た場所と反対側にテレポートしてから、相手の後ろを取り、また1人倒した。その後、キャラクターの必殺技にある『デコイ』を作る能力を使った後、角に隠れた。わざと発砲した後、フラッシュを放ち待機した。

 最後の敵がデコイにスナイパーで射撃した瞬間、ジャンプしながらヘッドショットを決めた。



 「よっしゃー‼めっちゃ緊張したわー!」


 「和葉さん流石ですぅ!」


 「和葉さんナイスです‼マジで上手い‼」


 思わず口調が崩れてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る