第6話 二日夜 風呂と夜伽と。
朝、起きる。
昨日は異世界ソープランドもあってぐっすり眠れた。
手足も無事に回復したが、自分の体のサイズ感が違う。
手足が多少長くなったようだ。
もう少し、続いてほしい、成長期。
体が軽い、日本にいた時より軽い。
自転車のギアを下げたようにというか、電動アシスト付自転車に乗り換えたような感じだ。
きっと、魔力強化ボディーに体が作り替えられたんだろうな。
ヴィーはもうすでに休業中の雑貨屋で勉強をしてるっぽい。
シェリがお盆を持ってきながら「朝食にお粥とおにぎりをご用意していますが、お肉の方がよろしいですか?」と聞いてくる。
新妻かよ! 最高だ。
「とりあえず、のどが渇いているので、お茶か水があれば」と俺。
シェリがお盆を脇に置き、正座して三つ指をつき、深々と頭をさげ「ご回復おめでとうございます」と祝辞を述べてきた。
お、腕が回復しているのだ、ならば人生で言ってみたいこと第一位の言葉。
「ちこう寄れ」
シェリが下を向いたままこちらに近寄ってくるので、ゆっくり抱きしめた。
昨日しっかり形は確認したが、ほとんど触れなかった。
やはりしっかりとした胸で、思ったより柔らかい。
背中をなでると思ったより皮膚や皮下脂肪が薄い感じだ。
出るところは出て、締まるところは引き締まっている。
ここは、このまま押し倒すしかないだろう。
「シェリ、この後の予定は?」と冷静を装って、俺。
「もうすぐ、鈴木商店から武器防具を乗せた馬車が参ります」
い、今はダメなのか、我慢、夜まで我慢だ。夜までって・・・・・・我慢出来るのか俺?
シェリを触っているとゴロゴロと近くに馬車が入ってきた音がする。
シェリが「見てまいります」と離れてしまう。手の感触が名残惜しい。
俺も家から出て馬車を見に行く。
番頭さんがわざわざ運んでくれたようだ。
シェリが「今、店にある売り物と中古品を持ってきてもらいました」と解説してくれた。
馬車の中を見ると、片手剣や両手剣・短剣、盾が大きいのから小さいのまで、体に合いそうな皮鎧2セット、練習に使うのか木刀や崑などがあった。
「ダンジョンに入るときによく使われるのは、片手剣に盾と皮鎧となっています。今あるのは町の警備兵の払い下げ品なので、魔力はあまり入っておりませんが、お試しになるには十分かと」とシェリ。
「いまいち、武器と魔力の関係が分からないのだけれど、俺がドラゴンと戦った時は剣の中に水の魔力が入っていて、ドラゴンに剣が噛まれて中の魔力が放出されたように感じたんだよね」と俺。
「基本的な考えはその通りです。竹の水筒に水を入れた時、ゆっくり染み出てきて、水筒を乾燥から守るイメージです。水筒の栓に魔石を入れて大きな衝撃があったときは魔石から魔力を調達し破壊されるのを防ぎます。毎日装備していれば、体内の魔力から少しずつ魔力が補給されるので、武器内の魔力の減りは少なくなります。ですが長い間放置されると、魔力が枯渇し傷がつき易くなります。魔力が少なくなった武器防具は反魔晶石の火にくべて、魔力を補給します。傷ついてからだと修理費が高くなるので、魔力が枯渇する前に整備に出すのが普通です」
俺のステータス上、魔力は有り余るはずなので、魔力貯蔵量とかいらないな。
それより、重いのは筋力がなくて振れそうにない。
「シェリ、魔力貯蔵量は無くていいので、軽いのある?」
「レイピアとかですね。貴族はお金に糸目を付けず、毎日手入れできますから、備蓄量は少なく軽いです。また、ナイフやダガーなども刀身が短いので魔力が減りにくく軽くできます」
とりあえず片手剣を掴んでみる。
当たり前だが金属バットの何倍も重い。
剣を振るより、振られるな。
筋力のあるヴィーは片手剣だとしても、俺は軽い剣だな。
「レイピアある?」と俺。
「はい、ありますが、まだ魔力を充填していないので使えません。一応、見本としては持ってきてありますが」とシェリ。
番頭さんが箱から出して見せてくれる。
ゴテゴテ宝石のついた鞘から抜き身にして渡してもらう。
小学校にあった竹の定規くらいの太さで長さ1mくらいだが、それでも金属バットの2~3倍は重い。
「これ装備したら、魔力は貯まる?」
「魔力が強ければ貯まると思いますが、レイピアは魔力貯蔵量が少ないとは言っても装備して充填するには月単位で掛かるかと思います。武器屋に出される方が良いかと」
「ちょっと実験してみたいから、今日レイピア借りれる? 使わないから」と俺。
「それは可能ですけど・・・・・・」シェリは少し不満げに答える。
「あとは、皮鎧セットは借りるとして、シェリの武器だけど、崑の先にダガーかナイフを付けることできない?」と俺。
シェリが番頭さんに訳すと番頭さんはその場で加工を始めて、取り付けてくれた。
「何でもかんでも職人に回していたらお金がかかってしまいますから」とシェリ。
結果、片手剣、ショートソード、レイピア、シェリ用の崑にダガーを付けたもの、皮鎧2セット、丸い木の盾2個、あとシェリに頼まれた魔法の背負い袋を購入候補として台車から降ろしてもらい、その場で着てみる。
皮鎧の靴は皮のブーツに脛当てを付けたようなもの、足はズボンの外モモに皮を付けたようなもの、胴は樽をくり抜いて肩掛けのランニングにした様なもの、ダサい。
シェリに頼んで着てみる。
重い、足元見えない、剣なんか振れる気がしない、崑も満足に振れない。
兜に至っては邪魔で振り向けない。
全部装備すると歩くのも大変。
ダメだ。
「シェリ、胴と頭と腕は無理だ、ほかの用意して貰えない? ワンセットは借りるとして」
「分かりました」とシェリは答え、番頭さんは皮鎧を荷台に乗せていく。
番頭さんお手数おかけします。
箱に入ったレイピアと皮鎧の品質の差が凄いな。
降ろしてもらった武器防具は寝床に使っている畳の部屋に運び込む。
朝ごはんも食べていないので、おにぎりとお茶を出してもらい。
シェリとともに食べる。
シェリが「この先、どうなされるおつもりですか? 準備をしたいので」と言った。
「噂が落ち着くまでダンジョンに潜って戦闘訓練と反魔晶石狩りで資金集めかな。それと先代のお宝さがしかな?」
「お宝ですか」とシェリは落ち着いた声でいるが、ワクワクが回路を通して伝わってくる。
「お宝と言っても金貨1枚程度のものだと思う。ただ、俺にとっては先代の助言が書いてある書物の方が重要だ。ヒントは『西の沼』と『北の山』だけ。西の川は流れてしまったそうだし。思い当たる節はある?」
「聞き覚えはないですね。先代には直接会ったことはないので」とシェリ。
パタパタと足音がしてヴィーが入ってくる。
やはり、ハッとする美人だ。目が合うだけでドキッとした。
ヴィーが恥ずかしそうに、とろけるように笑顔になる。
ヴィーは俺の隣に座るとシェリに「日本語、日本語」とねだる。
シェリは俺に助けを求めるように目線を飛ばしてくる。
俺は頷きを返す。
たぶん、俺を優先するか、ヴィーの日本語を優先するかの確認だろう。
ヴィーの日本語を優先して貰わないと今晩、俺が困る。
ヴィーの初めての感想を俺が日本語で聞きたいという理由で我慢しているが、明日までは我慢できない。
「では、いくつか注文を出したら、日本語に充てますね。ご主人様はどうなさいますか?」とシェリ。
「西の沼を見てきたいと思う、危険か?」と俺。
「西の沼はおやめになった方がよいかと。今、お役人が現場を押さえていますが、午後からは現場が公開されますので、見物人で溢れかえるかと。鈴木商店で現場の仕切りを行いますのである程度の融通はききますが、ご主人様が出ていかれるのはまずいかと」とシェリ。
「鈴木商店はそんなことも仕切るのか?」と俺。
「そうですね、見物人を放置すると大混乱になりかねませんので、いくばくかの金銭を頂きます。そのお金はみんなの為に使われます。今回は町の東に井戸を作ることになるようです。そういったお金の使い先までできるのは、力のある商店になりますので」とシェリ。
「北の山の獣は大丈夫?」と俺。
「ダンジョンのモンスターは襲ってきますが、通常の獣は身の危険を感じない限り襲ってきません。この辺りでは、猪、鹿、狸くらいしか出ませんし。冬には害獣駆除しておりますので、そう出くわすこともありません。北の山に向かって一日ほど歩くと、狼の群れが襲ってくるそうですが、縄張りに入らなければ襲ってこないです。さらに奥に行くと熊とかもいるそうですが、こちら側が団体行動していれば熊も襲ってくることはないです」とシェリ。
ドラゴンが出るのは異例中の異例、大災害ということか。
「そうか、では北の山とかダンジョンの様子を見てくる」獣から風の魔晶石が手に入れば、シェリに付けてみたいと思ったが、そう簡単でもなさそうだ。
北の山に向かう。
家にいて、二人を前に性欲を我慢するのは難しい。
前回より奥に入っていく。
緑は濃く、空は青く天高い。
悪く言えば、蒸し暑く、藪が生い茂り、虫がぶんぶん飛び回り、足場がぬるぬるして気が滅入る。
先ほどから蚊が俺の血をバカスカ吸いまくっている。
蚊に刺されると、滅茶苦茶かゆくなり、10秒ほどで治る。
かゆみも10倍、治りも10倍のようだ。
笹でも皮膚が切れるところから見ても、防御力は人のそれと変わらず、回復力だけが10~100倍になっているようだ。
凄い速さで回復するが、刀で斬られれば、普通に真っ二つになるな。
斬られた場合、俺はどうなるだろうか。
ぶった切られて上半身と下半身に分かれた場合、上半身の俺と、下半身の俺とが再生して、一卵性双生児のようになった場合、腰のあたりについているシェリの契約回路は下半身についていくだろう。
そうなればシェリは一卵性双生児の弟にとられることになる。
ならん、それはならんぞ!
そうなれば血みどろの殺し合いだが、そうすればますます弟たちが増え、無間地獄に陥る。
胴の装備は早急に良い物を揃えねば!
日が落ちてきたので、家に戻ることにする。
背の伸びた自分の新しい体を試してみたが、基本的には元の世界の時と同じようだ。
1キロも走ればかなり息切れするし、腕力もそう変わらない。
走り終わった後の息切れが戻る早さとか、筋肉の超回復も早そうなので、筋トレすればすぐに筋肉はつきそうな気がする。
ダンジョンももう一度見に行くが、変わりはない。
さっきから回路を通じでヴィーのウキウキ加減が伝わってきている。
家に戻るのが楽しみだ。
入り口を開けると、ヴィーが三つ指ついてお出迎えしてくれた。
「おかえりなさいませご主人様、お風呂にしますか、ご飯にしますか、それとも私?」とヴィー。
発音は心もとないが、それを含めて100点!
「ご飯、お風呂、ヴィーの順番で」と俺。
「承りました、ご主人様」とヴィー。
奥から「今、お出ししますね」とシェリの声とジューという肉が焼ける音がしてくる。
ナシ、桃、スイカなどのフルーツや、水が置いてある。
俺が椅子に座ると、ヴィーがやる気満々で俺の隣の椅子に座る。
ヴィーが料理を口に運んでくれるのだろう。
「ヴィー、食事は自分で食べるから大丈夫だ、その代わり、風呂と夜伽は頼む」と俺。
ヴィーは少し残念そうな顔をしたが、一気に顔を真っ赤にし俯いた。
小さな声で「はい」とヴィーの声が聞こえてきた。
シェリの出してくれた食事はおいしい。
ステーキやしゃぶしゃぶ、肉じゃがが出てきた。
「お肉のおかわりはたくさんあるので、おっしゃってくださいね」とシェリ。
食欲は小腹がすいた程度だったのに、食べても食べても満腹にはならない。
食べているうちにARコントローラーが胸の前に出てきたので、食事をいったん休憩にしてもらう。
俺は和室に行き、皮の胴鎧にもたれるように座る。
ヴィーもシェリも俺についてきて左右に正座して座った。
「えっと、内緒だが、夕方になると俺は装備魔法が使える。ただ、手や目があっちこっちに行くし、変な言葉を発すると思うし、集中もしなければいけないので、二人は夜の準備をしておいてくれ」
二人から強力な興奮の感情が流れ込んでるのを感じつつ、二人に席を外してもらう。
まずは俺からだ。
ステータス画面を開く。
〈ステータス〉
種族:人間(オス)
名前:トキ・スズキ
年齢:16-1歳
職業:ドラゴンを狩る者
ジョブ:獣人使い
〈状態〉
体力:■■■
魔力:■■■
状態:欲情
〈能力値〉
知力:5
計算力:2
記憶力:5
想像力:5
語力:1
運動神経:12
筋力:1
魔法適性:42
回復力:108
〈装備〉
頭□
右腕□
左腕□
銅□
足□
足首□
〈入力回路〉
ヴィー(炎)
ヴィー(光)
シェリ(風)
□□
〈アイテムボックス〉
□□□□□
〈総合戦闘力〉
物理攻撃:1
魔法攻撃:42
物理防御:1
魔法防御:42
体力が全回復したのと、状態が『欲情』になったの以外は変わらずか。
アイテムボックスは魔晶石を入れたいところだが、今は何もないのでとりあえず、じゃらじゃらしている銀貨3枚を入れる。シェリがいればすぐに必要になることはないだろう。必要なら明日取り出せばいい。
まずは胴の装備を付ける。
魔法防御が42に、物理防御が2になる。
頭、胴、足、足首を付けたが、物理防御2のままだ。
胴以外は、普通の衣服に傷防止を付けただけのようだ、弱い。
魔晶石も胴しかついていなかったしな。
片手剣+3、ショートソードが+2、崑にダガーを付けたものが『槍』と表記され+1、レイピアが+5だった。
レイピア一択じゃん。
防具は運動靴として皮鎧の靴と、皮鎧の下半身用は邪魔にならないので装備する予定とする。
胴は回復力で何とかするしかない。
盾も防御力+1だと飛んでくる小石とかを弾くくらいにしか役に立たんな。
とりあえず、レイピアと靴・皮鎧(下)を装備。
次にヴィーだ。
〈ステータス〉
種族:火ドラゴン人(メス)特異種
名前:ヴィー
年齢:15歳
職業:奴隷(所有者トキ・スズキ)
ジョブ:学士
〈状態〉
体力:■■■
魔力:■■■
状態:トキメキ
〈能力値〉
知力:10
計算力:1
記憶力:10
想像力:1
語力:10
運動神経:9
筋力:10
魔法適性:41
回復力:106
〈装備〉
頭□
右腕□
左腕□
銅□
足□
足首□
〈入力回路〉
炎
光
□
〈アイテムボックス〉
炎の生魔晶石(小)
光の生魔結晶(特大)
□
〈総合戦闘力〉
物理攻撃:10
魔法攻撃:41
物理防御:1
魔法防御:41
ヴィーがときめいてる!
それ以外は変わらずか。
とりあえず、片手剣+3を装備。
「ヒャ!」とヴィーが小さく声を上げた。
この家の範囲くらいの距離なら、装備ができるらしい。
俺とヴィーとの回路もかなりの距離つながっているから、ステータスから武器防具に魔力回路を接続するのも、ある程度の距離があっても大丈夫なのだろう。
ヴィーがこちらにやってきた。
「あ、すまんすまん、ちょっとヴィーの装備をいじってた」
「ヴィーの装着もできるの?」と聞いてくる。
「そうだ。今からもう少し装備するから少し待っててくれ」と俺。
皮鎧シリーズと木の盾を装備した。
「シェリを呼んできて」ヴィーに言う。
ヴィーは三つ指ついた状態で「ヴィーはご主人様の指示を守りました」と頭を差し出してくる。
ヴィーの頭を一撫ですると、ヴィーはシェリを呼びに行った。
「お呼びでしょうか、ご主人様」と俺の近くに正座する。
「今から、シェリの装備をいじるから、変な感じがするかもしれない」と俺。
シェリのステータスを見る。
〈ステータス〉
種族:鹿人(メス)
名前:シェリ
年齢:17歳
職業:奴隷(所有者トキ・スズキ)
ジョブ:薬師
〈状態〉
体力:■■■
魔力:■■■
状態:ワクワク
〈能力値〉
知力:3
計算力:5
記憶力:2
想像力:2
語力:2
運動神経:1
筋力:1
魔力適性:1
回復力:1
〈装備〉
頭□
右腕□
左腕□
銅□
足□
足首□
〈入力回路〉
風
〈アイテムボックス〉
風の生魔晶石(小)
□□□□
〈総合戦闘力〉
物理攻撃:1
魔法攻撃:1
物理防御:1
魔法防御:1
シェリは何でもない顔をしているが、夜にワクワクしているのね。
愛いやつだ。
槍を装備する、ぴくっとシェリが反応する。
その反応、俺の方が癖になりそうね。
「背負い袋も装備した方がいい?」と俺。
「そうですね、魔力が充填されるほど、入れた物のサイズは小さくなるので」とシェリ。
重さは変わらないから、そう大きいものも入れられない。
無駄に質量保存の法則とかしっかりしている。
シェリに装備して、コンソールを閉じる。
今やれることは、終わりだ。
さて、お楽しみのお風呂の時間だ!
「×××××」と男性? オス?の声だ。
こんなタイミングで! 敵認定。
番頭さんが、薄めの大きな箱を玄関から運び入れる。
箱を開けると日本の平安貴族が使いそうな前後の帯を横紐で留めるタイプで、肩に魔晶石が三つずつ付いている。
風三つ、炎三つのようだ。
装備してみる。
物理防御+14で、合計15だ。
胴は大事、胴は大事。
「王都の貴族のためにあつらえているものを特別に回していただいたのですが、即決してくださるならご主人様にお売りするとのことです」とシェリが番頭さんの言葉を翻訳してくれた。
「買う」と俺。
シェリから驚愕の感情が伝わってくるが、シェリの表情は冷静だ。
「お高いですが、大丈夫ですか?」とシェリ。
「何とかする」としか言えん。
「分かりました」とシェリは言い、番頭さんと長いやり取りを行う。
かなり、駆け引きをしているようだ。
番頭さんはシェリの身内だが・・・・・・いや、今は俺のものだから、知人のようなものか。
長いやり取りだったのでARコントローラーは消えている。
俺は、風呂の方が気になってしょうがない。
話がまとまって、番頭さんが帰っていく。
さあ、お風呂だ。
シェリが「何とか購入することが出来ましたが、これからが大変です」と、何やら恐ろし気なことをいう。
「ちなみにどういう内容?」
「値段は金貨300枚でまとまりました。もとは金貨600枚でしたから、鈴木商店でも赤字ギリギリではないでしょうか。担保として私とご主人様とヴィー様が入り、お利息は月々金貨3枚、本体の支払いは金貨5枚の月々金貨8枚のお支払いになります。それでもご主人様が死んでしまったり、逃亡されたり、追剥に負けてしまった場合は鈴木商店の丸損ですから、ご主人様はかなり信頼されておりますね」
ん? 金貨300枚って日本円換算で十数億円くらいではないだろうか。
「お支払いが滞るとどうなるの?」
「ご主人様もろとも奴隷落ちです。売却すればある程度のお金にはなるので、大丈夫じゃないでしょうか」とシェリ。
「例えばダンジョンで頑張った場合、どれくらいの稼ぎになる?」と俺。
「優秀なパーティの調子のよい時が月に金貨10枚程度ですから、ご主人様なら大丈夫かと思います」とシェリ。
本当に大丈夫なのか??? シェリの常識感覚を信じたい。
シェリが続けて「あと、レイピアを含めた武器防具の支払が月々金貨2枚の10回払いとなっておりますので、月々の総支払額は金貨10枚になります」と言った。
本当に大丈夫なのか? あのドラゴンの賞金が金貨10枚だったぞ。それを毎月・・・・・・。
ままならない、異世界、ままならない。
風呂に行くとそこにはパラダイスが広がっていた!
シェリが主導でヴィーとの共同戦線。
夜があるのに耐えられず2回も弾けてしまう。
このためなら、毎月金貨10枚でも耐えられる!
やる、やってやるぞ!
風呂から出て、水を飲み一息しした後は、布団に直行である。
これをなくして何のための人生か!
俺が布団にごろりと横になっているところに、二人が左右に三つ指ついてあいさつした。
「ふつつかな者でございますが、誠心誠意努めさせて頂きますので、よろしくお願いいたします」とシェリからの挨拶だ。
「よろしくお願いいたします」とヴィーが布団の中に入ってくる。
先に契約したのがヴィーだからなのかシェリは順番を譲るようだ。
俺はゆっくりヴィーを抱きしめゆっくりキスをする。
舌を入れても無抵抗に受け入れてくれる。
唇をゆっくり舐めると、ヴィーはブルブルと小刻みに震えている。
感じてくれているようだ。
ヴィーの体の各所を確認するように撫でていると、ヴィーは息が上がっていく。
もっと愛撫してやりたいが、俺のほうが我慢できず、一気に頂いてしまう。
あっという間の時間だったが、ヴィーは敏感で良く感じてくれた。
「どうだった?」
ここが肝心だ。
「何もできず申し訳ありません。また抱いてくださいますか?」とヴィーは涙を浮かべて懇願してくる。
俺はヴィーの頭を撫で「もちろんだ」と答える。
ヴィーは優しく俺を引き寄せ、エクエクと小さく泣いた。
ヴィーが俺を放すと今度はシェリの番だ。
シェリは三つ指ついて「お願い申し上げます」と言った。
シェリはゆっくり服を脱ぎ、シェリの方から俺の全身を愛撫してくる。
すぐに俺はたまらなくなり、シェリの唇を奪う。
シェリはゆっくり唇を外すと「接吻は奥様にするもので、奴隷にするものではありません」と囁く。
「俺はシェリにしたいことする。いいか?」と俺。
「もちろんでございます。お好きにこの肉体をお使いくださいませ」とシェリ。
唇を奪うとシェリは抵抗できなくなる。
攻守交替して一気に駆け上がる。
ヴィーより長かったが、それでもあっという間だった。
「シェリ、どうだった?」
「奴隷の私にこんなに良くして下さり、本当にどうお返ししてよいかわかりません。今宵のことは生涯の宝でございます。命を懸けてお仕えさせていただきますので末永くよろしくお願いいたします」とシェリ。
「こちらこそよろしく」と俺。
二人の喜びが伝わってくる。二人の外見もよいが、中身はもっと良い。
明け方、我慢できなくなり、またヴィーを抱いてしまう。
ヴィーは敏感なため、快楽から逃げるに逃げれず、何度も体を震わした。
隣で寝ていたシェリももちろん起きており、ヴィーの後に抱いたが、今回はシェリも何もできず俺のなすがまま震えるだけだった。
昨日の夜はあっという間だったが、今朝はしっかり堪能できた。
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