AIに選ばれた男

微乳姉さん

第1話AIマザーの世界へようこそ

目覚ましの音がうるさい。

鼻をくすぐるコーヒーの美味しい香り。

ああ、マザーが入れてくれたんだということは・・・。


『おはようございます、田中純タナカジュンさま』

「マザー!今何時!?」

『今の時刻は、八時十分です』

「遅刻だっ!!」


僕はこれから学校へ向かう為、急いで制服を着る。マザーが八時きっかりに入れてくれたコーヒーをがぶ飲みし、急いで出来上がった朝食を食べる。六時に起きるつもりだったから朝食が冷めてしまっている。


「マザー今日のニュースは?」

『今日のニュースは、ホームレスからAI企業へ就職した男性のニュースと

失業者が三〇%から四〇%の時代に突入したニュースの2件がピックアップされてます。』

「へー、未来は明るいのか暗いのか・・・ご馳走様!」


僕は食べ終わった食器を食器棚に入れて、スイッチを押す。これもマザーと連動させたいけどそうなったらAIホームかあ、それ高いもんなあ。


『純さま、もうすぐ八時三十分となります』

「もうそんな時間!?」


急いで僕は高校へと向かった。

ここへ辿り着く道のりには、最先端CGで映し出されたバーチャルアイドルが空中で化粧品の宣伝をしていた。アイドルはある意味三次元になり、マザーと同じ学習型AIが核だと授業で習ったが、昔はアイドルは人間だったことの方が驚きだと思う。


そんなことを考えながら電車に乗り、僕は教室へ入った。

教室にはいつもの数人が席についていて、僕もまたいつもの席へ座る。


学校は今年の二〇三六年には既に自宅学習化となっていた。全国の子供がこの授業をネットで見ているし、自宅で学習している。僕らみたいに学校へ来る人間は異常な奴らしい。いつからAIが取り入れられたのかは覚えてないけど、少子高齢化の影響で日本が初めてAIを入れたのは覚えてる。現代歴史は苦手なんだよなあ。


クリスタルに投影されている先生の映像を見て、今朝のアイドルを思い出した。先生もその内、空中へ映し出されんのかなあ。


そんな時、自分のカード型携帯が震え出した。


【授業終わったら、放課後ラーメン屋な!】


友達のワタルからだった。渉とは幼稚園からの付き合いで、まあ、腐れ縁というやつだ。と平成の主人公みたいなことを思ってみる。


【了解】


僕はメッセージを返し、授業を受けるもラーメンは何を食べようかと邪念が入ってしまった。やっぱとんこつかなあ。

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