第23話 最終決戦①
「へ、ヘラ……その姿は……?」
俺は全方位の魔力弾を
すると、白銀の髪と同じ白銀のショート丈のドレスを靡かせ、美しい白銀色の瞳をしたヘラはドヤ顔&腰に手を当てて胸を張った。
とても可愛い。
初めて見る姿だから余計可愛い。
不謹慎たか、今からでも一眼レフに1000枚ほど写真を収めたいくらいだ。
「この姿は———《精霊同化・竜神》よ! 目が覚めたらバハムートにシン君が戦っていると聞いて駆け付けたの。その時に偶々出来たわ!」
普通『精霊同化』は偶々出来る何て生易しいものではないんだけどな。
まぁヘラなら出来てもおかしくないので、ヘラだからと割り切ろう。
ドレス姿も可愛いので体力が一気に回復しました。
「それにしても……何よアイツ。サタンよりも強いじゃない」
「まぁ神になったからな。この世界のあらゆる記録が記載されてる神の遺物を取り込んだんだ」
「……ずるいわね」
まぁ俺達が必死こいて修行やら何やらして手に入れた力を、たった1つの遺物を吸収するだけであっさり変えやがったからな。
努力家のヘラがずるいと言ってしまうのも分かるし、大いに同意する。
「……何者だ女ァ……」
「卑怯者に名乗る名はないわ———《黒白の双神刀》」
ヘラの言葉と共に、刀身にドラゴンの姿が刻まれた2振りの黒刀と白刀が彼女の目の前に現れた。
その刀から漂う力は、1つ1つが最強と呼ばれる
黒刀からは荒々しい魔力が、白刀からは静かな魔力が溢れ出ている。
ヘラはその刀身を握ると、チラッとアーサーを見て言った。
「貴方は此処までにしておいた方がいいわ」
「……だけど」
「貴方には婚約者のマリアさんが居るでしょう? ボロボロになって帰って来ればマリアさん卒倒するわよ」
「…………確かにね……分かった。僕は《精霊同化》も使えないから大人しく観戦しているよ。ただ———シン」
「何だ?」
「学園を護るのは僕に任せてくれないか? このままただ見ているだけなんて出来ない」
アーサーが覚悟の篭った瞳で俺を見る。
確かに、アーサーの風魔法は防御にも優れているし、アーサーが護ってくれるのなら、俺も全力で戦える。
「分かった。学園のことはアーサー、お前に任せた。だから、こっちは俺達に任せてくれ」
「ああ。絶対に死ぬなよシン」
「お前な……そう言うのがフラグになるんだぞ」
俺が呆れた様に言うと、アーサーはクスッと頬を緩めて笑った。
「ははっ、確かにね。でも———大丈夫だよ。君は死亡フラグを折るのは得意だろう?」
コイツ……上手いこと言うじゃないか。
「そう、だな。俺は世界で1番のフラグクラッシャーだろうな」
俺がそう言うと、アーサーは再び笑ってアウラ共に学園へと戻る。
「———逃がすか!」
「やらせねぇよ。《百雷》《雷牢》」
それと同時にヴォイドロードが魔力弾が無数に放って来るが、俺が即座に雷を落として相殺し、更にヴォイドロードを雷電の牢屋に閉じ込める。
その間にアーサーとアウラが魔法を完成させた。
『「———《神風の揺り籠》!!」』
神の風がふわりと吹いて学園を優しく包み込んだ。
俺はそれを確認してから魔法を解く。
同時に大量の魔力が再び行使可能となった。
「さて……俺も足手纏いにならない様に頑張らないとな」
俺は先程より5割増しの力で《雷装》を何重にも重ね掛けし、更に消滅する度に自動で《雷装》を発動できる様にする。
ヘラなら、遠距離でサポートするより近距離でサポートする方が良い。
「シン君、準備は大丈夫?」
「大丈夫。ただもう少しで出てくるから注意して」
「分かっているわ」
ヘラが刀を構えると、両刀から膨大な黒白の魔力が迸る。
俺も負けてられない。と全身を雷に変換、
「———はぁあああああ!!」
「今よ!」
「———了解」
俺は言葉を言い終わる前には既にヴォイドロードの懐に入り込んでおり、全身の雷を抑え込んで拳に集結させて全力で殴る。
ヴォイドロードは反応したが、奴が防御するより速く俺の拳が鳩尾に到達し、まるでボールの様に弾ける様に吹き飛ぶ。
「———グハッ!? この———」
「———私を忘れないで貰いたいわ」
「チッィィィ———!!」
ヘラの黒刀と白刀を受け止めたヴォイドロードの腕が、侵食の魔力などまるで始めから無かったかの様に輪切りになる。
しかし邪神は腕を一瞬で再生させると、ヘラの首を掴もうと手を伸ばす。
現在ヘラは空中にいるので流石に燕返しの様なことは出来ない。
だが———奴がヘラの身体に触れることを俺が赦すわけがない。
「《
一瞬で刀に変形した
「グァァアアアア———ッ!? くそッ……1人1人なら余裕で殺せるものを……!」
「普通なら2対1は卑怯かもしれないけど、アンタも努力もせず楽して強くなったのだから卑怯とは言わせないわ」
ヘラは追撃とばかりに黒刀と白刀を縦横無尽に振り回す。
しかし、決して我武者羅と言うわけではなく、絶妙に相手に攻撃の隙を与えない攻撃に全振りしたかの様な剣戟だった。
おっと、ただ見ているわけにはいかないな。
「《雷針》」
俺は極細の雷の針を生成し、ヘラの邪魔にならない様なタイミングを強化した瞳と脳で見極めながら放つ。
僅かな剣戟の隙間をすり抜け、幾千もの《雷針》を一点に集中させることによって侵食の魔力の鎧を突き破ってヴォイドロードの身体に突き刺さる。
瞬間———
「ガァアアアアアア!?!? な、何だ、これは……!?」
ヴォイドロードの身体を雷が駆け抜け、内側から身体を焼いた。
斬るよりも焼く方が細胞が死ぬので、再生が遅くなるはずだ。
「———ヘラ!!」
「ナイスよシン君! はぁああああ!!」
ヘラが刀を一瞬止めると同時に居合斬りの様に速度の上がった一閃がヴォイドロードを———
「遊びは終わりだ」
———両断することなく腕に食い込むだけに終わった。
「く……ぬ、抜けない……!!」
更にヘラが刀を抜こうとするも、まるでくっつけられたかの様にビクともしなかった。
ヴォイドロードはそんなヘラの姿を見てニヤリと笑みを浮かべた———と同時に俺の全感覚が『ヘラを助けろ』警鐘を鳴らした。
俺はそれに従い、ゆっくりと流れる世界の中でヴォイドロードに接近すると———
「———《雷震斬》ッ!!」
刀を超高速に振動させてヘラの刀が刺さった腕を削る様に切断した。
それと共に俺は即座にヘラを抱き寄せてその場を離れる。
俺がヘラを連れて離れた途端———ヘラの居た場所も含めた全方位に極大の闇の極光波が俺に迫る速度で放出された。
「シン君!?」
「ちょっと口は閉じておいた方がいい。舌を噛みちぎってしまうかもしれない」
「っ!?」
ヘラが口をギュッと閉じたのを確認すると、迫り来る極光波を
そして極光波が止んだ頃には———
「———これからが本当の戦いだ……!」
ヴォイドロードは、色々な生き物を継ぎ接ぎした様な不気味で悍ましく、ざっと2、30メートル以上もある巨大なモノに変形していた。
その身体から放たれる圧が、最後の戦いを告げていた。
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