◯◯った姉の燕子花(かきつばた)

盛り塩

プロローグ

「それじゃあね孝之たかゆき、お母さんたち行ってくるから」

「………………ぃゃ……」


 出ていく両親を、うらめしげに玄関で見送りながら一人の少年がうなだれた。

 まるでこの世の終わりがきたような悲壮感をまとわせて。


 三笠みかさ 孝之たかゆき、17歳高校二年生。


 今日から両親は海外出張で一年間フランスへ行くことになっている。

 絶望しているのは、そんな両親と離れ離れになる――――ことではなく。


「……お姉ちゃんのこと、くれぐれもよろしくね」

「……ぃゃ……ぃい……いやだぁ……」


 社会不適合・ど変態ブラコン姉ちゃんと、二人きりの新生活が始まってしまうからであった。

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