第220話 巫女と神(1)
みなもの発した言葉に、三柱は頷き従った。アサナミの神より、受けた
みなもは、討つことを選んだ。みなもの真意は、ここにいる三柱は承知していることであった。それに従うということは、火の神、
死神が
「言っておくことがある。詩織は御霊がない状態で生きている。だけど、この場所では身体は、もって二日だ。それ以上は、生命活動の維持ができない」
「えっ、でも
「あれは、環境が整っている場所だから。でけど、ここは身体を助けてくれる物はない。しかも、周りには物の怪の
「琴美ちゃんは、病院という安全な場所だったから、身体が保てたということ」
陽向の言葉に死神は頷いた。
「それならば、なおさら時はない。
「承知!」
火の神、死神、シーナが声を合わせた。
「各個、どこを討つかじゃが」
「みなも、頼みがある。山の地の
死神がみなもを見ると、裏鬼門の方向に視線を移した。
「山の地は、
滅多に自己主張をしない死神が真っ先に声を上げたことに、火の神は驚いていた。シーナが火の神の驚く顔を、グイッと押さえ込んだ。
「あのね。オスマシがせっかくやる気になっているんだから、黙ってやらせればいいのよ。あんたもオスマシの性格、知ってるでしょ。理由聞くなんてやる気をそぐだけで、
無理やり納得させるシーナの話し方に、火の神は「ムググ」と口を閉じてしまった。
チラリと瞳を輝かせたシーナに、死神は静かに瞳を閉じた。
「まあ、死神は決まりじゃの。でっ、風はどうする」
「わたしは、まあ、沼を片づけて、みんなを待ってるよ」
シーナが「フーン」と笑いながら、死神の横に舞い降りた。
「残るは、野と川じゃが。火の神はどうするのじゃ?」
火の神は、どちらが強敵なのか考え込んでいた。戦いをしようというのにおかしなことであるが、みなもには、できれば少しでも楽に戦ってもらいたいと思っていた。
(野の裏鬼門を護る神。
「俺は野に行く」
眉を寄せ、難しい顔をしていた火の神が、みなもに頷いた。
「分かった。儂は、川の地の裏鬼門を閉じる」
三柱は頷いた。
「決まりましたか。それならば、こちらに気を回すことなく力を注げるよう。お手伝いをします」
紗雪は詩織の身体に手をかざすと、透明なベールがフワリと詩織を包み込むと、壁となった。
「いま詩織は雪の壁の中にいます。物の怪はおろか、神ですらこの身体に触れることはできません」
紗雪が優しく笑みを送ると、みなもは、瞳を閉じて礼を示した。
「これより、ナナガシラの裏鬼門を閉じに行く。裏鬼門には、
「はい」
「では、参るぞ」
みなもが実菜穂の後につくと、火の神、シーナ、死神がそれぞれ、陽向、霞、琴美の後ろについた。
巫女たちが首の
「神霊同体」
四つの光が辺りを照らすと、体育館の屋根を突き抜け空へと輝きを放っていた。
ナナガシラより放たれた光を見ている少女がいた。静南である。
「
空へと伸びる光は、この地で命を散らした巫女たちの反撃の
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