第150話 メモと記憶(6)
「本当の反撃ということは、何か他に達成させるべき目的があったってこと?」
(何の目的で龍神に
ウム~と考え込んでいる実菜穂の姿を、みなも、火の神、シーナが眺めている。その三柱を漣が眺めていた。
(この柱は全て見通している。私にも分からなかったことを、もう知っているのかもしれない)
沈黙していた時間が動き出した。
「
考え込む実菜穂の横で
「囮?囮になることが、漣ちゃんの言った『本当の反撃の機会を作る』ことに繋がると。ねえ、陽向どうしてそう思ったの?」
実菜穂が陽向の答えに食いついた。声には出さないが
「うん。私もボンヤリとしたイメージなんだけど、囮になったのは間違いないかな。確か、卯の神自身が
陽向が地面に描いている村の絵に、五つの地から沼の地に向けて矢印を付け加えた。
「キナが挑んでいる状況は、六体の龍、つまり、地上神を
「あーっ、なるほど!でも陽向、『事』って言うのは・・・・・・何?」
実菜穂が苦笑いしながら困ったという顔をする。
「誰かを逃がすとか」
陽向が答える前に霞の声が先を制した。
「私も霞ちゃんと同じ答えだよ」
「えっ、逃がす・・・・・・誰を?」
実菜穂が地面の文字をジーっと見る。六つの地を見ていく。沼、野、田、川、山、土、何度も目が文字を追いかけていく。
(逃がす。誰を?・・・・・・そういえば、ビルにいたのは龍神やその他の放浪神。どうして御霊を無くしたのか、どこから来たのかは口を閉ざしていた。何か大きな秘密を持っているからか。事をなす為には秘密にする必要があるからだ。逃がしたのは放浪神も含めて、重要な者・・・・・・『里子』・・・・・・里子さんは山の神の巫女・・・・・・・私たちは御神体を・・・・・・どうして土の神・・・・・・)
「あーっ!」
実菜穂が大きな声を上げた。漣が驚き、翼をバサリとひと振るいして実菜穂に注目した。
「私、分かったかもしれない。キナが囮になって何をしたのか」
「私もいま実菜穂と同じこと思ったよ」
「わたしもです」
三人が確信をもって声を揃えて答えた。
「キナが囮になったのは、巫女を逃がすため」
三人の息はピタリと合った。
「巫女だよ、巫女。それもきっと土の神の巫女だよ」
実菜穂が二人に確認すると、陽向も霞も頷いた。三人は漣を見て答えを待った。
「そうだ。確かに土の巫女をこの村から逃がした。どうして分かった?」
三人の盛り上がりに
「そう考えた理由は三つある」
実菜穂は指を立てて説明を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます