第4話死神篇(4)
「どなた?」
美樹子は眉をひそめ、口角を上げた。
「あたしの名を名乗る前に、ひとつ聞きたい。いいか?」
不躾な態度にすこし苛立つ。次に、黙り込む。
「いのちを救ってやろうというんだが、いいか? 悪い話じゃないはずだ」
「どんな理由があるわけ?」
美樹子は、しだいに、この少女には近づかないほうが良いように思えてくる。
「こんなことを話して、気を悪くするかもしれないが、怒らんと聞いてくれ。おまえ、母親を亡くしたろう。おっと、ドアを閉めるな。おまえのためを思っていってるんだ。話を最後まで聞いてくれ。おまえをこの世から消す。そして、魔の手から守ってやる。あんた、監視されてるよ。あたしのことを、よく聞きな。あんたを自由にさせてやろうというわけさ」
「あなた、くだらない冗談話すのをやめてくれる。私、忙しいのだけれど」
「秘密調査局ってご存じかな? あたしたちは、コズミック・ミュータントを追跡している。それは、簡単にいえば異能力者のことだ。ただ、世の中にその存在がバレてしまっては、騒ぎになる。そこで、あたしたちは、おまえに見えない存在になってもらおうかな、と思ってな。
申し遅れた。あたしは、滝イズミ。おまえと同年齢だ。十七歳。あんたが、コズミック・ミュータントだってことは判明している。これで、お分かりかな?」
「なにをふざけたこと話してるの? 調査とか、異能力だとか、馬鹿馬鹿しい」
「あんたが、異能力を隠しても、あたしたちには、バレバレさ。秘密調査局の調べで証拠を押さえているし、実は、あたしも異能力者、つまり――コズミック・ミュータントなのさ」
「あなた、頭おかしいんじゃないの?」
「まあ、その話は置いておこう。今夜、決行だ。じゃあ、またな」
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