第36話 バカ

 バカと言えば、まりもとダンスする夢とかを見て寝てしまったので、宿題は途中までしかやっていなかった。

 でも、雪で家に帰れなかったということでおとがめなしだった。そういうのはあんまりすっきりしなかったけど、まあしかたがないと納得することにした。

 納得できなかったのは、学校に泊まった子たちも宿題をやってなかったことだ。ひと晩学校にいたのに勉強してないって、何それ、と思った。

 でも、泊まったところが体育館で、勉強机がなかったのだから、しかたがない。しかも、夜になると体育館はずんずん冷えて、エアコンを入れてもちっとも暖かくならず、避難所用の毛布だけでは寒くてろくに眠れなかったという。

 ここは生徒会の会議で改善を提案しておかないと、ほんとに爆弾テロでも起こってここが住民の人たちの避難所になったりしたとき、たいへんなことになる。

 まあ、だれがこんなところで爆弾テロなんか起こすんだ、とは思うけれど。

 ともかく、自分の家の前で、いけすかない生徒会役員を見かけて見ぬふりもしないで、声をかけてくれたまりもに感謝だ。しかも、まりもの親切を振っていなくてよかったと、心から思った。

 だから、もうひとつ納得できないことも納得することにした。

 それは何かというと、英語の宿題をやって来たというだけでまりもがめられたことだ。

 最初の訳のところは懸命に辞書を引いたおかげもあって、そんなに大きくまちがっていなかったけど、穴埋めとかめちゃくちゃだったのに……。

 でも、まりもは最後の問題まで解いたのに、満鶴みつるは穴埋めの一問めで寝てしまった。だから、やっぱり、まりもが褒められたのに納得しないなんて言える立場ではなかった。

 そして、家に帰ると、こっぴどく叱られた。

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