イカ、CD、トイレ
「あ〜うんこ漏れそう...これヤバイわ会社まで間に合わん、次の駅で降りるか...」
◇◇◇
「ふ〜、間に合ったぁ〜...」
ガチャ
(やべ、鍵かけるの忘れてた!)
「うわぁ!誰ですか貴方!」
「あ、すいません鍵かけ忘れちゃいました!」
「も〜しっかりして下さいよ、開けたのが僕で運が良かったですね、うんこだけに!」
「...ハハ」(早く出てけよ!)
「じゃあ失礼してっと」
「おおい!!何でここでケツ出してんだよ!!」
「え? ああごめんなさい、急にあれやりたくなっちゃって、彼氏が膝の上に彼女乗せるあれ」
「頭おかしいのかよ!? あれトイレでうんこしながらやるもんじゃねえぞ!!」
「すいません、隣行きますね」
「何なんだよ全く、鍵閉めとくか...」
「いや〜最近調子どうですか?」
「......」
「あれ? おーい聞こえてますか?」
コンコン
「あ、え? 俺に話しかけてる!? 初めて聞いたわドアからじゃなくて横からノックされる音!」
「ここであったのも何かの縁ですから、ちょっとお話しましょうよ」
「早く出てけよ!」(...ハハ)
「それよりどうなんですか、最近の調子は」
「人の話聞かねえ野郎だな...調子? まあまあだな、こないだボーナス貰ってさ、ブックオフで中古CD大人買いしちゃったよ」
「ああいえ、腹の調子です」
「腹の調子!? 良かったら朝からこんな所いねえよ!」
「僕最近腸活にハマってて、納豆とかキムチ食べるとお腹に良いらしいんですよ、それ始めてから結構快便ですね」
「へ〜、でも俺納豆嫌いなんだよな」
「やっぱり臭いからですか?」
「そうそう、あとなんか口に入れた時のネバネバ感がちょっと嫌だわ」
「臭くて茶色いってまるでうんこみたいですね!」
「よく朝からそのテンションで喋れるな!? 初めて見たわ納豆の事うんこみたいって呼ぶやつ! 絶対やっちゃいけないからな食べ物とうんこ混同するの!」
「あとキムチ食べるとやっぱりお腹痛くなりますね、辛いんで」
「腸活の意味ある? 痛めつけてるじゃねえか」
「キムチ食べた後に出すもん出して尻拭くと赤いのがついてるんですよね」
「それキムチじゃなくて切れ痔!! キムチ食って赤いのそのまま出てくるやついないから!! 全部茶色い納豆になって出てくんだよ!」
「ところでさっきスーツ着てましたけど会社行く途中なんですか?」
「そうだよ、まさか朝から腹壊してトイレ入る事になるとは思わなかったわ、昨日食べたホタルイカが当たったのかもしれないな...」
「あるあるですね〜、会社はどこら辺に?」
「新宿だな、まあとにかく交通の便がいいからどっからでも行きやすくて助かるよ」
「つまり快便って事ですね!」
「はっ倒すぞ! 何なんださっきからお前のそのクソつまんない親父ギャグ!?」
「クソ...? まさかそこでうんこと掛けてくるとは...僕もまだまだです」
「言ってない言ってない! そういう意味で言ったんじゃない!!」
「親父と言えば、お子さんとか居らっしゃるんですか?」
「ああ、うちはまだ居ないんだよね、もう結婚はしてるんだけどさ」
「へ〜、奥さんとはもう
「うんABCね、なんだDって聞いた事ないぞ、そりゃあ最後までいってるよ、結婚してんだから」
「え、最後って
「Cまでだわ! え、何お前だけガンダムの話してる?」
「僕の友達は
「だからABCだって言ってるだろ! あとなんなんださっきからデーってディーって言えよ一々鼻につくなぁ!」
「だからイケナイ太陽が歌えないって嘆いてました」
「尚更D関係ないじゃねえかよ!ABC続かないって歌詞だぞ!?」
「あと僕の友達、太陽くんなんですけどED疑惑があるんですよね」
「ああ、そりゃあ可哀想だな、男だからよく分かるわ」
「それ聞いた時、ホントにイケナイ太陽じゃん!って笑っちゃいましたよ!!」
「失礼過ぎるだろ!? 絶対向こうから友達だと思われてないぞお前!」
「やっぱりイカナイ太陽の方がウケが良かったですかね?」
「関係ない関係ない! どっちも絶対言っちゃダメなやつだから!」
「太陽くんには幸せになって欲しいんですよね」
「まあまずはお前との縁を切る事が第一歩だと思うよ、俺は......あれ紙がない!! 最悪だ...ちょっとそっち紙ない?」
「ああ〜丁度昨日床屋行っちゃって少なくなってます」
「誰がトイレで髪の毛の話すんだよ!? ケツ拭く紙の話だよ!」
「ああ、ありますよ上から渡しますね」
「すまん、助かるわ」
「よいしょっと」
「おいこれコピー用紙じゃねえか!!」
「え、ちゃんと自分のケツ拭く用の紙ですよ?」
「何でそれで始末書渡してくんだよ!!間違ってねえけどお前は間違ってるよ!! こんなもん常備してる奴おかしいだろ! トイレットペーパー渡してくれって言ってんの!」
「ああそっちの方ですか、はいどうぞ」
「さっさとしてくれよ...うわもう遅刻ギリギリだ! 急がねえと!」
「なんか大変そうですね〜」
「全部お前のせいだから! 朝からクソ疲れたわ!」
「まあ僕と出会ったのが"運"の尽きって事で、ここは一つ」
「やかましいわ!!二度と来るかこんなトイレ!!」
◇◇◇
この三十分後、普通に遅刻した彼は始末書を書く羽目になったとさ。
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